相続があった場合、相続税の申告は10ヶ月以内。
ただ、被相続人が事業をしていたら、その間にも手続きすることがたくさんあります。
仕事を引き継ぐ
フリーランス、個人事業で仕事をする人は定年がないので、ある意味ずっと仕事を続けることができます。
技術があれば、健康であれば、老後も食べていけます。
これは、これでいいのですが、お客様のことを考えれば、事業承継、後継者への技術伝承といったことも考えていく必要もあるわけです。
やがて、相続が発生します。
相続が発生すると、その仕事を相続人である子どもが引き継ぐケースも多いです。
その場合、相続の申告期限よりも前に税務署に提出するべき書類もあります。
どんな書類を出せばいいのか?
相続があると相続人は税務署に書類をいくつか出さないといけません。
「相続があったわけだから、税務署への届け出の内容も反映させてほしい」と思う気持ちはわかりますが、残念ながらこれは相続対象ではないのです。
だから、別途提出する必要が出てきます。
相続人の方の必要書類はこういったツールを使ってもいいでしょうね。
個人事業の開業届・被相続人の廃業届
相続人が自分で事業をやってなかったら、「個人事業の開業・廃業等届出書」を相続開始の日から1ヶ月以内に税務署に出しておきます。もともと自分で仕事をしていれば必要ありません。
同じように相続があって被相続人は仕事をできなくなるので、「個人事業の開業・廃業等届出書」で廃業の意思表示を忘れずに。
ここでは詳細触れませんが、被相続人は相続開始から4ヶ月以内に確定申告(準確定申告)をする必要があります。
青色申告の承認申請書
これが一番大事な書類。「青色申告承認申請書」
提出期限が原則的なパターンとちょっと違っているのです。
しかも相続が発生するタイミングで提出期限が変わるというややこしさ。
青色申告にして貸借対照表まで作成しておけば、青色申告特別控除は65万円。それ以外でも10万円。
出さない手はありません。
① 被相続人が青色申告だった場合
相続人がそれまで仕事をしていなかった場合には次のような期限。
相続開始日が | 提出期限 |
1/1〜 8/31 | 相続開始の日から4ヶ月以内 |
9/1〜10/31 | 相続開始の年の12/31まで |
11/1〜12/31 | 相続開始の年の翌年2/15まで |
一方で。相続人がそれ以前から自分で仕事をしていたら、事業を引き継いだ年の3/15までです。
つまり、3/16以降に相続があったら、残念ながらその年は白色申告というわけです。
そもそも、自分で選択していなかったんですから・・・、仕方ありません。
ここはあきらめて来年のために準備しておきましょう。
② 被相続人が白色申告だった場合
白色申告だったら、どうなのでしょう。
これは相続人が事業をしていたかどうかで変わります。
相続人が | 提出期限 |
事業をしていた | 事業を引き継いだ年の3月15日まで |
事業をしていなかった | 相続開始日から2ヶ月以内(1/15までに相続があった場合は3/15まで) |
どちらにしても、ここでも白色申告は不利になるという・・・。
残念ながら白色申告に今や(というか前から)メリットはないのです。
給料を支払うなら
さらに給料を支払う場合には、
といった書類が必要になります。
ここでは青色申告承認申請書が最重要であることをお伝えする関係上、詳細の説明は省略です。
被相続人が消費税を支払っていたら
被相続人が消費税を支払っていた場合には、消費税のことも考えておく必要があります。
- 相続人である子どもが事業をしていなかった。
- 事業をしていたけど、免税で消費税を支払っていなかった。
そういった場合でも、被相続人の事業を引き継いで、さらに被相続人の2年前の売上が1,000万円を超えていれば、相続を開始した日の翌日から12/31まで相続税を払うことになります。
もし簡易課税にするなら、簡易課税にするための届出書(「消費税簡易課税制度選択届出書」)を出しておく必要があります。
この提出期限は原則、その相続があった年の年末まで。
12月中に相続が発生した場合には、2月末までに「特例申請書」を提出することが認められています。)
→ やむを得ない事情により課税事業者選択届出書等の提出が間に合わなかった場合
こんな感じで、やることはたくさん。
事業を引き継ぐのなら、相続の申告期限とは別で早め早めに動いておいたほうがいいですね。
【編集後記】
昨日はスポット相談。独立についてでした。数年以内の独立を視野に動いているとのこと。独立して感じたこと、やったこといろいろお話しました。