フリーランスの「払ったからといって経費にできるとは限らない」を具体例で解説

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仕事に関係するサービスを受けるため、モノを買うのにお金を払えば経費になりますが、その年に全額が経費にならないなんてこともあります。

「いつ経費になるか?」経費にできるタイミングを知っておきたいところです。

目次

買ったら経費…というわけではない

フリーランスが仕事のためにモノを買ったり、サービスを受けたというのであれば、ふつうは経費になります。

ただ、経費になるかならないかというのは気にしていても、「どのタイミングで経費になるのか?」という点は、見落としがちです。

例えば、今年お金を払ったけど、実際に経費になるのは来年。というものもあります。

実際、お金を前払いする取引も多いですし。

そのような場合に、払った金額すべてを経費にしてしまうと、経費が多すぎる、となるものがあるのです。

結果的に税金が間違って計算されているということにもなってしまい、税務署におこられてしまう…なんてこともあるかもしれません。

それは避けたいところです。

ということで。まずはお金を払ったけど、全額が今年の経費にならないものもある、ということを知っておきましょう。

次にどんな取引があるのか?を具体例で見てみることにします。

まだ経費にならない…のこんな取引

今年払ったけど、今年の経費にならないよというものはいろいろあるのですが、具体例で見たほうが早い、ということでよくあるものを取り上げてみます。

来年(来期)に使い始めるモノ

2020年12月にPC(9万円)を変えようとネットで買ったけど、在庫がなくて今年届かなかった。

その場合、お金を払っていたとしてもこのPCは経費になりません。

なぜなら使っていないから。

たとえ、買っていても仕事につかっていなければ、経費にならない。こういう場合はいったん「前払金」として処理しておきます。

その後に使い始めたタイミングで前払金を消耗品費など経費に振り替えるということになります。

時期 借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
(2020年)買ったとき 前払金 90,000 現金 90,000
(2021年)使ったとき 消耗品費 90,000 前払金 90,000

ちなみに、買ったモノが30万円以上のモノならどうなるか?

この場合は、固定資産(車や工具器具備品などの減価償却資産)とするわけですが、2020年中に仕事に使わず、2021年に使い始めたということであれば、その2021年から減価償却をしていくことになります。

減価償却費をちゃんと計上しないとどうなるのか 知っておきたい減価償却費の効果 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog

来年(来期)のセミナー参加費

セミナーに参加するとき、事前に参加費を払うことがあります。

例えば、2021年の1月に札幌で開催されるセミナーに名古屋から参加するという場合で2020年の9月に参加費を前払いしたとします。

ただ、札幌となれば、交通費だってかかります。飛行機チケットも必要だからと前もって払うわけです。

払ったときに経費にしていれば、これらのセミナー参加費や交通費が2020年の経費になってしまいます。

ただ、これは間違い。経費にできるのは実際にサービスを受けたときです。

だから、お金は払っていても

  • まだ参加していないセミナー参加費
  • 使っていない航空機チケット
  • 現地のホテル宿泊料金

を2020年の経費にすることはできず。セミナーが開催される2021年1月にようやく経費になります。

こういうときには、払ったときには前払金などで経理しておき、サービスを受けたときに前払金から研修費や旅費交通費に振替えるということになります。

時期 借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
(2020年)買ったとき 前払金 70,000 現金 70,000
(2021年)セミナー参加 研修費 30,000 前払金 30,000
(2021年)セミナー参加 旅費交通費 40,000 前払金 40,000

これまであったもので、来年の会議室代を今年に支払うというのもありました。

こちらも考え方は同じです。ただ、会議室は今後減るのかもしれませんが、参考までに。

まとめて買った商品

商品をまとめて買ったという場合。

これも同じで、買ったときに経費になるわけではありません。

もし買ったときに経費になるというのであれば、売れるときとタイミングがあわないわけで、利益も正しく計算されないということになってしまいます。

売上      0
仕入  1,000

というように。でもこれは間違いです。

商品は売れたときに売上と同じタイミングで経費(売上原価)になります。

では、まだ売れていない商品はどうすればいいか?という話になりますが、売れていない仕入れ分は商品(資産)としておきます。

なお、商品をまとめ買いすると、値引きするよということでたくさん商品を買うということがありますが、お金が商品になったら売れるまでお金に変わらないということを知っておく必要があります。

資金繰りを考えると、多すぎない方がいいということです。

雑誌の年間購読料

雑誌を年間購読するというケースがあります。専門誌だと年間購読になっていることも多く。

ここまで来ると、なんとなく予想できると思いますが、この雑誌の年間購読料も支払ったときに全額経費になるわけではありません。

月刊誌だったら、12ヶ月分のうち2020年にかかる分だけが経費になり、来年分の月額料金に対応する部分は、やはり前払金などで処理することになります。

時期 借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
(2020年)年払いした 前払金 24,000 現金 24,000
(2020年)2020年12月まで 新聞図書費 10,000 前払金 10,000
(2021年)2020年1月以降 新聞図書費 14,000 前払金 14,000
補足
なお、払った年に経費にできる「短期前払費用」なる特例があるのですが、こちらは1年以内のサービスで、毎月のサービスの質が変わらないもの(家賃とか保険料など)の場合に使うことができるものです。モノについては、この特例の範囲外ということになります。

経理するのを忘れないような工夫をしよう

今年払ったけど、利用するのが来年という場合、経理では間違えやすいところです。

内容だけ見ると、研修だったり、交通費だったりでふつうの取引と変わらないのですが、いつから使うか?いつ実施するか?といったところも請求書や支払内容から確認しておく必要があります。

この間違いを減らすには、経理をするときに

  • 決まったら忘れないようすぐに「前払金」で経理しておく。
  • 摘要欄に対象の日付や期間を記載しておく
  • 会計ソフトで検索できるようにしておく

など工夫しておくことが必要です。

払ったからといって、すべてを経費にできるわけでない、という取引があること、現在の取引の中に同じようなものがないかを確認しておきましょう。


【編集後記】
昨日はオフ。子どもたちと3人で映画1/2の魔法の付添いで外出。「帰ろうか」と2階フロアを歩いている途中、長男(5)がパーッと先に行ってしまい見当たらなくなりくなりました。「迷子?」と一瞬頭をよぎり、長女(11)と辺りを探していたところ、エスカレーターでしれっと1階から上がってきました。当の本人はこりずにニコニコしていたものの…こちらはヒヤリでしたけどね。

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