相続があってからあわてて銀行で現金を引き出さなくてもいい理由(ワケ)

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相続があった日の前後に、亡くなった人の口座から現金を引き出しているケースは多く。

あわてて引き出した感がありますが、それほどあわてなくてもいい理由を2つの面からお話しします。

目次

相続前後に銀行口座からまとまった現金を引き出す人・ヒト・ひと

相続税申告の仕事では、どんな財産があるかを見つけるのに預金通帳をチェックします。

預金通帳を見れば、預金の動きからどんな支払いがあるか?。どんな収入があるか?がいろいろ分かるからです。

  • 保険金
  • 配当
  • 給料
  • 保険料
  • 貸金庫手数料
  • 贈与
  • 介護施設の支払い
  • 税金
  • 国保

ときには、親族間での贈与を思わせるお金の動きもあったりします。

たいていは、同じ日に100万円の出金がきれーいに複数並んでいます。

そして、通帳でよく目にするのは、相続があった日、あるいはその前後に多額の現金を引き出しているケースです。

相続があった日前後に預金からお金を引き出している理由ってどんなことなんでしょうか?

今回は現場でよくある2つの視点からお話しします。

  1. 現金で引き出せば財産にならない?から
  2. 相続後の支払いなど資金繰りを工面するため

現金で引き出しておけば、節税になる?

まず1つ目は、現金で引き出せば、相続財産にならないでしょ?というもの

預金が相続財産になるというのは、誰にでも想像がつくものです。

さらに、銀行がその残高を把握していることもあって、隠したところで税務署が銀行に照会をかければすぐに見つかります。

そこで、「現金ならバレないのでは?」と考えるわけです。

現金には通帳もないですし、現金ならどこに行ったかも分からなくなるという考えからでしょう。

ただ、この考えはまったくの空振りで終わることになります。

よく考えてみましょう。

預金から引出しした金額というのは、通帳にきっちり記録されるはずです。

相続があった日に現金を引き出していれば、確かに預金残高はそのぶん減るわけですが、ではその現金は使ったのか?というと、使わずにしまってあったり、入れてあったりすることがほとんどです。

隠しても、預金から現金が引き出しされているのは事実。どこかで白日のもとにさらされることになります。

(もし、現金で払ったものがあれば、何に使ったかを分かるようにしておけば大丈夫です。)

結局、 預金から現金に変わっただけで使っていなければ、相続財産であることに変わりはありません。

だから、「節税?になるから!」とあわてて引き出しても意味がないのです。

葬式代やら医療費やら払えなくなる?

一方で。資金繰りの理由から相続開始の日あるいはその前後で預金からお金を引き出しているというケースもあります。

結論からお伝えすると、預金口座が凍結されてしまう前に預金口座からお金を出しているのです。

相続があったことを銀行が知ると、銀行では預金口座を凍結することになっています。

銀行がどのタイミングで亡くなったことを知るかは、いろいろです。残高証明書を発行するタイミングだったり、たまたま家のまえを銀行の担当者が通ったり、新聞に名前が載っていたのを見つけたり…。

「口座、閉めさせてもらってよろしいでしょうか。」と。だめって言っても閉めますが。

実際に相続があると、葬式費用や医療費やらいろんな請求書が集まってきて、支払うものも少なくありません。

相続人からすれば、「できればじぶんの生活費を使わずに進めたい」と考えるわけです。だから事前に引き出していることが多い。

で、預金口座を凍結されると、その口座でのお金の入出金はできなくなります。

じゃあ、いつ預金口座の凍結が解除されるのか?

銀行に相続人全員が合意したことが分かる書類を提出すると、預金口座の凍結が解除され、提出した書類に沿ってお金を動かせるようになります。

ここにたどり着くまでには、時間がかかることもあるわけですが、そこまで支払いは待ってくれません。

これが問題だったわけですが、現在はそこまで焦ってお金を引出さなくてもよくなっています。

というのも。民法が変わって、家族が支払いに困らないように、遺産分割が決まる前だとしても仮払いすることができるようになっています。

仮払できるのは、1銀行について「預金残高×1/3×法定相続分(最大で150万円)」です。

このあたりの詳しい内容はこちらの記事をご覧いただければ。

預金の仮払い制度で預金の凍結後でも一定額までお金を引き出せるように(民法改正) | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog

預金の仮払い制度は、2019年に始まったばかりの新しいルールなので、普通に利用されるようになるには、まだまだ時間が必要でしょうね。

もし遺言があるならば、遺言書をもとに財産を分ければいいわけですから、このような手続きをしなくてもすみます。

ということで。事前に遺言を残せるのがいちばんいいかと。

まとめ

相続があった日の前後に預金口座から現金を引き出しているケースは多いのですが、

  • 現金も相続財産になる
  • 預金には仮払い制度がある

ということを分かっていると、急いで銀行にいかなくてもよくなります。

もちろん、電子マネーも立派な相続財産。と言っても、今のところあまり出会ったことはないのですが。


【編集後記】
昨日は午前中に歯医者の定期検診。午後は法人の決算を。子どもたちとトランプの神経衰弱をやりました。今やると覚えているのがけっこう大変。記憶力では負けてるかも。

【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
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