数字の羅列にしか見えないと言われる「貸借対照表」。
金額で見てわからないなら、見方を変えてみましょう。まずはイメージ図で見るのがオススメです。
よくわからない されど大事な貸借対照表
「損益計算書はよく見るけど、貸借対照表は…」なんて話はよく聞くところです。
損益計算書には、馴染みのある「売上」、「利益」といったものがあり、売上はいくら?経費はいくら?その差額としての利益はいくら?とその構造は比較的シンプルだと言えます。
売上ー経費=利益
一方で、貸借対照表は?というと、現金預金とか、売掛金とか、借入金とか、いろいろ並んでいるけど、それが何を意味しているのかがよくわからない…という声も多いかと。
ただ、言えるのは貸借対照表は、損益計算書よりもむしろ大事だということ。
なぜなら、損益計算書は1期分だけの「結果」、期首にはまたゼロからスタートするものです。
これに対して、貸借対照表は開業してから累積の「状態」を示した表で、期が変わっても引き続いていくものだからです。
つまり、10期続いたら、10期までの判断の結果、30期続く会社なら、30期までの社長の判断の結果が載っているわけです。
例えば、土地を買った会社と、土地を借りた会社の貸借対照表では、その姿はずいぶんと違っているといったこともよくある話です。
貸借対照表はこうしてできていく その時、その時の判断で今後が決まる | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
資金繰りに問題があったりすると、貸借対照表を見ることでその原因がわかったりすることも多いです。
数字だけ見ていてもわからない場合にやるべきこと
本来わかりやすいのが数字なのですが、貸借対照表を見てもさっぱりでしょう。
この点には、異論はありません。私が最初見たときも同じ感想でした。「だから?」って。
これは、「それぞれの数字がどうつながっているのか?」という関係性がわからないということが原因です。
なので、この貸借対照表をみて、ざっくりとどんな状況なのか?を把握できるようにしましょう。
そこで、貸借対照表の内容をまずはイメージ図にしてみるのがおすすめです。
それも1つだけでなく、前期や前々期との比較、同業他社などと比較してみることです。ここでは3期分を比較してみますが、もちろん5期でもかまいません。
具体的なチェックポイントはのちほど説明するとして、ここでは、貸借対照表の構成を簡単にご説明しておきます。
貸借対照表についてかんたんにご説明
貸借対照表は「流動資産」「固定資産」「繰延資産」「流動負債」「固定負債」「純資産」の6つに区分されます。(このうち「繰延資産」については今回省略)
これを前述のイメージ図で見てみると。
まず、右側の「流動負債」や「固定負債」、「純資産」というのは、お金をどこから集めたか?を意味するものです。
次に左側の「流動資産」「固定資産」は、右側のお金を「なにに使ったか」を意味します。何にも使ってない場合には、お金として残っています。
左側の金額の合計(総資産)と右側の金額(負債と純資産)の合計は必ず、一致します。
イメージ図は、前述の総資産のうちに占める各項目の割合で表示したものになっています。
このイメージ図について、詳しくはこちらの記事で説明しています。
貸借対照表のイメージ図をExcelで作ってみた 前期以前と比較すれば見えてくることがある | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
貸借対照表のざっくりチェックポイント
ここで、先ほどの貸借対照表のグラフをもう一度見てみます。
これを見て、ざっくりチェックしておきたいポイントは次のような点です。
じぶんのお金は増えている?減っている?
まずはじぶんのお金が増えているのか?減っているのか?を見てみましょう。
ここでいうじぶんのお金とは、右側の純資産のことを指しています。
この純資産の中身というのは、資本金と毎期の利益を貯めたもの。資本金を増やさないという前提であれば、利益を出さないと純資産はちっとも増えていかない、ということになります。
この点でも税金はある程度払っていかないといけないということが言えます。
実際にイメージ図を見てみると、赤い部分が毎期増えているのはわかるかと思います。
これは利益も出しながら、じぶんのお金が増えていることを意味しており、安全な経営になりつつあることを意味しています。
フルローンより、自己資金も使える方がより安心できる、ということです。
もちろん、増えるばかりでなく、減ることもあります。赤字経営の場合には毎年減るなんてことも。
この純資産がマイナスになる状態は、「債務超過」といい、資産よりも負債の方が多いという状態です。
「債務超過」になると、銀行から融資を受けようにも難しくなるということを知っておきましょう。
流動資産と流動負債のバランスは?
次に、青色の「流動資産」と黄色の「流動負債」の関係も見ておきたい点です。
赤く囲った部分、流動資産と流動負債の「流動」ついては、1年以内というのがキーワードです。
つまり、流動資産というのは、1年以内にお金に変わるものを指します。売掛金とか商品とかいったものは、通常は1年以内にお金に変わるはずです。
一方で、流動負債とは、1年以内にお金が出ていくものとされます。未払金など、前述の貸借対照表に見られるようなものです。
この流動資産と流動負債のどちらが多いか?というのは意外に大事です。
というのも、上記の2017年のように「流動資産<流動負債」という状態というのは、1年で出て行くお金の方が多い、ということを意味しているからです。
逆の見方をすると、1年以上保有する固定資産を1年以内に支払うお金(流動負債)で買っているということにもなり、「これ、どーするの?」という状態でもあります。
ということで、先ほどのイメージ図に戻ってみます。
年々、利益を出していくにつれて、より、流動資産>流動負債の状態がつくれているということになりますので、よくなっているというのがわかります。
「実はメタボになっているのでは…?」という話もありますが、そうかもしれませんが、この図だけではわかりません。
ここでは最低限のお話とさせていただき、そういうのは、またどこかでお話したいと思います。(すでにこちらで話をしてますが。)
貸借対照表は大きければいいわけじゃない メタボにならないように運動が必要 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
貸借対照表もチェックしておかないと、実は思わぬ方向に歩いていた…なんてこともあります。
借りるか?買うか?そんな判断が正確に表れるのも、また決算書であり数字。
貸借対照表、決算期だけでなく、月次決算など、判断が必要な場面で「こうすると貸借対照表ではどうなる?」といったことを考えるのにも使えるものです。
持たない経営がいいと言われるのはどうして? ROA(総資産利益率)を計算してみるとわかる | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
数字だけで見ててもよくわからないものも、こうしたイメージにしてみると、ガラッと印象が変わったりしますので、まずはイメージ図で見てみるのがおすすめです。
貸借対照表のイメージ図をExcelで作ってみた 前期以前と比較すれば見えてくることがある | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
【編集後記】
昨日は1日オフ。午前中は熱田神宮へ。午後は子どもと3人で実家へ。その途中、スタバに寄って、子供たちにフラペチーノを購入。「お父さんもちょっと飲んでいいからね」と気遣いができる一面もあり。「ちょっと」ではありますが。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
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3人でスタバ知立店でホワイトモカフラペチーノ
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