相続があったときの準確定申告、遺産分割協議前(後)の確定申告の比較。

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相続財産に賃貸不動産が含まれている場合に遺産分割協議が確定する前に確定申告のタイミングを迎えることがあります。

誰がどうやって確定申告をするのか?申告するのは相続人です。法定相続分でそれぞれ申告します。

目次

相続があったら所得税の申告も必要

相続があったとき、相続税の申告が必要になるケースがあります。

その割合は、100人いたら8人程度とされています。

ただ、該当したとき必要になるのは、相続税の申告だけではありません。

所得税の確定申告もあります。

1つは準確定申告といわれるもの。

1月1日から相続の日までの期間の確定申告をする、いわゆる亡くなった人の最後の確定申告。

相続後、4ヶ月以内にすることになっています。

準確定申告って何なの? 相続が発生したら被相続人の所得税の確定申告を | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog

準確定申告だけで終わりじゃない!相続税の申告でも使う青色申告決算書 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog

ここで気になるのは、亡くなった人が収益不動産をもっていたら、その確定申告はどうするのか?という話です。

遺言書がある、あるいは分割協議がすぐに決まるということであれば問題ないのですが、分割協議がまとまるまでにはそれなりに時間がかかるものですし、分割協議が決まる前に確定申告のタイミングになることもあります。

遺産分割協議と確定申告

亡くなった人が賃貸不動産をもっていたという場合で考えてみると、次のようになります。

遺言書がある場合

この場合には、遺言書で指定されていた人が所有していることになります。

相続日の翌日以降の賃貸不動産の利益を不動産を引き継いだ人が確定申告をすれば大丈夫です。

1月1日から相続の日までは、準確定申告が必要です。

遺産分割協議をする場合

遺言書がない場合、遺産分割協議の確定までに期間がある場合には、ちょっと話が変わってきます。

次のようなイメージになります。

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1月1日から相続があった日までの確定申告は、前述したとおり亡くなった人の名義で、相続人全員の連名で準確定申告をするというのは前述したとおりです。

次に相続があった日より後のはなしです。

相続があった時点で、もともとの所有者はいなくなるわけですが、賃貸不動産は相続があったあとも賃貸され続けています。

ただ、現状の所有者が決まっていないという状況です。

この場合の確定申告は、それぞれの相続人が法定相続分で共有している状態になります。

分割協議がまとまるまでは、この状態が続きます。

もし、この間に確定申告の時期になれば、それぞれの相続人が収益不動産の収入や経費のうち法定相続分だけを確定申告をするということになります。

これは遺産分割協議が終わるまでは財産は共有に、という民法のルールによるものです。

で、賃貸不動産を相続する人が決まれば、遺産分割協議が確定した後は、それぞれの相続人が相続した賃貸不動産を単独で確定申告をすることになります。

なので、場合によっては、年の途中までは各相続人の共有に。途中からは1人の相続人が単独で所有ということがありえます。

ここで注意したいのは、2つです。

1つはお金の精算です。

もし、1人の相続人の口座に賃貸不動産の収入を入れ、経費を支払っていたという場合、そこには全員の利益としてのお金が残っていると想定されます。

確定申告をしたものの、そのお金の精算をしていないと、確定申告をして税金を払ったのに、特定の相続人が他の相続人の利益ももらってしまっているという形になってしまいます。

確定申告をし、賃貸不動産の利益分のお金の精算も忘れずにやっておきましょう。

もう1つは、分割協議が確定したとしても、それより前の期間には影響しないということ。

もし、分割協議がまとまって、ある賃貸不動産の相続を相続人Aさんがすることになっても、分割協議が確定する前の期間までAさんの単独所有ということにはなりません。

これはよく聞かれる話ではあるのですが、判例もでていて、遡らないというルールになっています。

とりあえず青色申告の申請をやっておく。

もし、収益不動産を相続する可能性が少しでもあるなら、青色申告の承認申請を忘れないようにしましょう。

というのも、収益不動産を相続したからといっても、その青色申告の権利までは相続されないからです。

亡くなった人が青色申告だったとしても、相続人が青色申告を選ぶには、改めて申請する必要が出てきます。

青色申告は不動産の規模によって65万円(紙提出なら55万円)または10万円の控除が認められています。お金をはらうことなく、経費が認められるわけですから、忘れずに申請したいものです。

その期限は、相続がいつあったかによって変わります。

相続人の青色申告承認申請の提出期限
  • 1月1日〜8月31日に相続があった→相続の日より4ヶ月以内
  • 9月1日〜10月31日に相続があった→その年の12月31日まで
  • 11月1日〜12月31日に相続があった→翌年の2月15日まで

という期限があるので、賃貸不動産を相続する可能性が少しでもある相続人は、相続があったらすぐに青色申告の申請をしておいたほうがいいでしょう。

と考えると、相続税がかかる、かからないにかかわらず、相続後にすぐに動くことには意味があります。

相続があったら、相続税や相続手続きだけでなく、相続のその後のことも意識しておきたいものです。


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