フリーランス・ひとり社長がクラウド会計を使うなら知っておきたい 自動仕訳パターンの考え方

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フリーランスやひとり社長でクラウド会計を使う方も増えてきました。

そのクラウド会計、データ連携ができるのがメリットですが、最初にしくみをつくっておくことが必要です。自動仕訳登録などもその1つです。

今回は自動仕訳登録の一例をもとに、クラウド会計(今回はマネーフォワードを使います)のしくみづくりの考え方についてまとめてみました。

目次

クラウド会計のざんねんな使い方

クラウド会計を使って経理するフリーランス、ひとり社長が増えています。

そのクラウド会計の特徴としては、

  • データ連携をしてくれる
  • 仕訳を提案してくれる
  • 摘要がある程度入力されている

といったところにあります。

とはいえ、クラウド会計のほんとうの機能を活かしきれていないという事例もあります。

クラウド会計を使えば、安心かといえばそうでもなく、最初の設定がちゃんとしていないと後々残念なことになります。

というわけで、ここではクラウド会計で知っておきたい仕訳パターンについて、3つの例をあげてお話していきます。

知っておきたい自動仕訳登録パターンの一例

口座間の資金移動

クラウド会計の便利な機能としてデータ連携があるわけですが、その代表例が銀行預金(ネットバンク)のデータです。

ただ、預金残高が合っていないということがあります。

「クラウド会計なのに?」

「データ連携しているはずなのにどうして合っていないの?」

と思われるかもしれませんが、次のようなことから残高が合っていないということがおきるのです。

A銀行からB銀行にお金を口座間移動をした場合を考えてみましょう。

本来であれば次のような仕訳になります。

 

A銀行からB銀行へ資金を移動

B銀行 100,000 / A銀行 100,000

でも、ネットバンクのデータ連携するようにしてあれば、A銀行からもB銀行からもデータ連携がされるわけです。

どちらからも「A銀行からB銀行にお金が移動した」というデータが連携されるわけで、つまり1つの取引で2つのデータがあるということになります。

ここで、データを「削除」したり、「対象外」にすると、クラウド会計の預金残高と銀行預金の実際の残高にズレが出てしまいますし、この場合は「対象外」に。などと例外をつくるとややこしくなります。

科目の預金残高と実際の残高にズレが出ると、それを探すのはとっても大変だというのは、ご存知のとおりです。

だから削除したり、対象外にしない。

具体的には、どちらのデータも仕訳データとして利用するようにしています。2つのデータをつなぐための科目をつくるのです。

ここでは「資金移動」という科目をつかっています。2つの仕訳を1つに結合するための科目です。

なので、「資金移動」の科目残高は必ずゼロになります。

 

A銀行からB銀行へ資金を移動

  • A銀行の預金科目  資金移動 100,000 / A銀行 100,000
  • B銀行の預金科目  B銀行 100,000 / 資金移動 100,000

これについては、クラウド会計ソフトで自動仕訳ルールを登録しておくのがおすすめです。

ただ、それでもチェックは必要です。それぞれの科目の残高は定期的にチェックするようにしましょう。

Amazonで本を買い、クレジットカード決済

預金と同じようにクレジットカードのデータや電子マネー、Amazonなどの通販サイトのデータも連携することができます。

じぶんが利用しているサービスをデータ連携がすることで、経理の手間を減らすことは可能です。

ただ、預金はデータ連携しているけど、クレジットカードはしていないとか、Amazonのデータを連携していないというケースもあります。

結果として。入力をしなくても済む取引まで、わざわざ入力をしてしまうという残念な結果になっていることも。

クラウド会計をつかうなら。どんな取引がデータ連携ができるか、連携できるものがないかは確認しておきましょう。

補足
ここでも、先程の口座間の移動と同様に、仕訳の「対象外」にするデータをつくらないというルールにしています。

「Amazonで本を買ってクレジットカード決済をした」という場合、データ連携ができていれば、

  • クレジットカードのデータ
  • Amazonのデータ

で同じ取引データが存在することになります。

ここでも、2つの仕訳を結合するための科目を使います。(「amazon」という科目を使っています。)

では、仕訳で見ていきます。

Amazonのデータ連携

まず、「Amazonで本を買う」はAmazonのデータをつかっています。つなぎの科目として「amazon」という科目を使っています。

新聞図書費 2,000 /amazon 2,000

Amazonのデータは何を買ったかがはっきりわかるのでおすすめのデータ連携です。

クレジットカードのデータ連携

で、次にクレジットカードにも同じ取引のデータが連携されてきます。こちらのデータは「Amazon,co.jp」と表記されているだけで買ったものの中身はわかりません。

前述のAmazonのデータ連携と内容がかぶるので、結合する科目として「amazon」を使っています。

amazon 2,000 / クレジットカード(未払金) 2,000

なお、クレジットカードという科目は「未払金」のイメージです。

クレジットカード代金を口座から支払い

最後に預金のデータ。クレジットカード代金がまとめて預金から口座振替されます。だから預金データからの連携になり、つぎのように仕訳するようにしておきます。

クレジットカード(未払金) 2,000/A預金 2,000

 

そうすると、さきほどと同様にAmazonとクレジットカード(未払金)の科目の残高はゼロになるはずです。実際は他のカード取引もあるので、預金からの支払いは合計金額になりますが。

ちょっとややこしいところはありますが、クラウド会計ならではの仕訳ということになります。

やっぱりAmazonやクレジットカード(未払金)の科目残高のチェックは必要になります。忘れずに。

最後にもう一度まとめておきます。

 

クレジットカード3つの仕訳

  • Amazon連携 → 新聞図書費 2,000 /Amazon 2,000
  • クレジットカード連携 → Amazon 2,000 / クレジットカード(未払金) 2,000
  • 預金データ連携 → クレジットカード(未払金) 2,000 / A預金 2,000

借入金の返済

最後に取り上げておきたいのは、借入金の返済です。

お金を借りたとすれば、その返済は毎月です。(据置期間はあっても)

借入金の返済は、指定した預金口座からの振替になるので、預金のデータを利用します。

ところが、その借入金の返済というのは、借入金の元本とその利息がまとめて支払われるわけです。

でも、科目は下記のように元本と利息をわける必要があります。

 

借入金の返済仕訳

借入金   50,000    / A預金 51,494
支払利息 1,494

わたしは、次のような複合仕訳登録をおすすめしています。(返済金の元本が毎月同額の元本均等返済に限定。)

自動仕訳ルールから、複合自動仕訳ルールを選び、

右上の「+仕訳ルール新規作成」をクリック。

次のように設定しておくと、データ連携されたタイミングで仕訳が表示されるので登録ボタンを押せば大丈夫です。

この結果、データ連携されると次のような仕訳が初期表示されるようになります。

 

借入金の返済仕訳

  • 支払利息 51,494 / A預金 51,494(明細の金額)
  • 長期借入金 50,000/ 支払利息 50,000(指定した金額:借入金の元本)

なお、支払利息は1つ目の仕訳と2つ目の仕訳の貸借差額で考えます。発生金額があっていれば問題ありません。

 

借入金の返済のおすすめ自動仕訳登録
  1. 支払利息は預金と同じ「明細の金額」にする
  2. 借入金の金額を「指定した金額」で毎月の元本返済額にする
  3. 借入金の相手科目は支払利息。支払利息は1つ目の借方金額と2行目の貸方金額の差額で計算

簿記を知っている方からすると、ちょっと変わった仕訳ではありますが、簿記の考えをとっぱらって正しい内容ならいい、と合理的な考えをもっておいたほうがうまくいきます。

残高チェックやメンテナンスを忘れずに

クラウド会計を使うには、最初のしくみをしっかりつくっておくことが欠かせません。1つ1つの取引をデータ化できないかどうかを考えたりして、紙しか残らない現金払いを減らしましょう。

現金払いになると入力するしかないので。

わからなければ、最初はコンサルティングなどで教えてもらうというのもいいかと。

それと、仕訳のしくみをつくったとしても、チェックは必要となります。

人がやることもあり、たまに残高がゼロになっていないというケースもありますので、ときどき確認するようにしましょう。

しくみをしっかりつくっておけば、入力の時間を減らして、数字を使ってこの先を考える時間に変えることができます。


【編集後記】
昨日は法人の月次や契約書の作成、じぶんの会社の決算などを中心に。夕方にちょっと買い物でした。

【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
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