「うちは相続税の申告をしなくてよかった」
そう思っていても、税務署が調査にやってくるケースがあります。その理由を解説します。
申告したあとに税務調査?
現状、相続があった場合に申告が必要になるのは、10人に1人とされています。
相続があれば必ず申告が必要になるわけではありません。ある程度、財産を持っていた方が亡くなった場合に相続税はかかります。
その分岐点になるのが基礎控除(「3,000万円+600万円×法定相続人の数)。相続財産の合計が基礎控除額を超える場合に相続税がかかります。
「じゃあ、うちは相続税かからないね」といって申告をしないこともあるでしょう。
ただ、申告しなかったのに、しばらくしてなぜか税務署から「税務調査をしたいんですけど」と連絡が入る場合があります。
これはなぜなのでしょうか?税務署の視点からお話します。
申告していない家を調べるほうが効率がいい
税務署が相続の申告をしている場合には、2〜3年位内に税務調査でやってくることがあります。でも、申告していない場合にも税務調査はありえます。
なぜ、申告していない家に調査にいくのか?
税務署の視点から見ると、効率がいいからです。
すでに申告をしている場合、相続税の調査で見つけることができるのは、申告に含まれていない財産だけです。それでも名義預金などでそれなりの金額になることもありますけど。
すでに申告をしているだけに、モレを見つけるのにも手間がかかりますし、ペナルティもモレた財産の分だけです。
いっぽうで、相続税の申告をしていない場合、調査して申告が必要だとわかれば、すべての財産を申告していないわけですからまるまるが申告モレ。相続税だけでなく、ペナルティもモレだけでなく、すべての財産を計算対象にして払うことになります。
申告していたか、していないか。反論もなく、事実はハッキリします。
税務署からすると、申告していないほうが手間をかけずに追加の税金を払ってもらえます。財産額が基礎控除額を超えていることさえわかればいいわけですから、効率がいいわけです。
もちろん、すでに申告している場合のモレを見つけたほうが税額が多いということはありえますが、効率がいいのは、申告していないケースです。
申告が必要なのかどうかを調べる
このグラフは、期限までに申告しなくてその後に税務調査があった件数と払うことになった相続税額の推移です。(棒グラフが税額、折れ線グラフが件数です。)
わかりやすいところで、2019年と2023年を比べてみると、調査件数は減っているのに(1077件→690件)、税務調査で払うことになった相続税は増えているのがわかります。
件数が少なくてもしっかりと持って帰るスタイルに変更し、効率がよくなっているわけです。2020年で減っているのはおそらくコロナの影響かと。
ということで、今後も相続税申告をしていない相続もチェックされる方向。
油断はできません。
税務署がやってくる可能性を下げるには、亡くなった方の相続財産が3,000万円を超えるような場合には「うちは相続税かからないでしょ?」と安易に考えずに、財産を評価して相続税の申告が必要なのかどうかを確認してみることです。
相続があった場合にも、ざっくりでも計算してみましょう。
より精度高くやるなら税理士に確認してもらうのがおすすめです。
想定する以上に、相続人の方が知らない財産はあるものです。なお、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」などの特例を利用する場合には、たとえ納税額がゼロでも申告は必要になります。
【編集後記】
昨日はオフ。午後から蒲郡方面、リニューアル後の竹島水族館に。従来の状態に一部増床という感じでした。アソビューだけでなくPayPayが使えるようになっていたのはよかったです。その後は武蔵丸にも。相変わらずの美味しさでした。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
リニューアル竹島水族館
梅月園
CIO SMARTCOBY Ex02