相続税は本当に高いのか?計算方法を説明しながら解説。

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「相続税がかかるでしょう?」「相続税は高い」とはよく言われます。
実際どのくらいになるのか。計算してみました。

目次

相続税がかかる人は100人のうち9人

「相続税がかかるでしょう?」
「相続税は高い」

という声はよく耳にします。

まず、確認したいのは相続税はどの相続にもかかるわけではないということ。
100人の相続があったら、相続税がかかるのはそのうちの9人ほど。

相続は誰もが一度は経験するのですが、相続税を払うのはごく限られた人ということになります。
とはいっても、相続税も過去は100人のうち4人ほどでしたから、過去に比べると相続税を払う人は増えていますので、意識しておいたほうがいいでしょう。

相続税の申告が必要だとしても、小規模宅地の特例などを利用して相続税がゼロになるというケースもあります。

では、相続税を払う場合にはどのくらいの金額になるのでしょうか。
実際に計算してみました。

相続税を実際に計算してみた

たとえば、遺産が1億円、相続人は3人とします。
それぞれで財産をどう分けるかが決まって、小規模宅地の特例も利用し、過去の贈与を上乗せし、債務もマイナスしたあとの純財産が1億円です。

そもそも「遺産≦基礎控除額」なら相続税はかからない

法定相続人は3人なので、基礎控除額は4,800万円(=3,000万円+600万円×3人)この金額を超えなければ相続税はかかりません。今回は債務までマイナスしたあとの財産は1億円なので、相続税はかかります。

財産の1億円から4,800万円をマイナスしたあとの5,200万円に相続税がかかることになります。

いったん法定相続分でわける

この5,200万円を相続人ごとにわけるのですが、このときは相続した財産の割合でなく、法定相続分でわけます。ここがややこしいのですが、公平に相続税を負担してもらうためにそういうものだと思っていただければ。

法定相続分は妻1/2,子どもたちがそれぞれ1/4になりますので、5,200万円を法定相続分でわけると、妻は2,600万円、子どもたちは1,300万円になります。

相続税を計算する

で、次にそのわけた金額をもとにそれぞれの相続税を計算します。繰り返しますがこれは仮の計算です。

そのときに国税庁HPにある速算表をつかいます。

これを見ると、3人とも3,000万円以下。なので、3000万円以下のところをみて計算します。

  • 妻 :2600万円×15%-50万円 = 340万円
  • 長女:1300万円×15%-50万円 = 145万円
  • 長女:1300万円×15%-50万円 = 145万円

合計すると、630万円というのが相続税の総額になります。

総額を相続した財産の割合でわける

相続税の総額を3人の相続人が相続した財産の割合で分けます。ここはそれぞれがいくら相続税の負担をするかの話で、全体としては630万円で変わりません。
財産を多く相続した人は相続税の負担もその分増えて、相続した財産が少ない人は、相続税の負担も少なくなります。

財産は法定相続分で分けると思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

基本は自由。遺言書があれば遺言書のとおりに、なければ話し合いでどの財産を誰が相続するかを決めればいいわけです。

誰がいくら相続税を負担するかも変わるわけです。

相続人ごとの事情を考慮する

基本的には、ここまでで相続人がはらう相続税は計算できていますが、最後に所得税と同じように控除ができるようになっています。

どんな控除があるか、興味がある方が少しはいらっしゃるかもしれませんので。参考までに触れておきます。

  • 贈与税額控除→過去(暦年課税は3年以内、精算課税はすべて)に夫から財産をもらって贈与税を払っている場合、相続税からマイナスできる
  • 2割加算→配偶者や一親等の親族以外が相続財産を受け取っている場合は相続税が20%プラスになる
  • 配偶者の税額軽減→配偶者は1.6億円(法定相続分と多い方)まで相続税を払わなくていい
  • 外国税額控除→海外に財産があって、海外でも税金を払っている場合に一部をマイナスできる
  • 未成年者・障害者控除→相続時点で未成年(18歳未満)や障害者の相続人がいる
  • 相次相続控除→亡くなった方が過去10年以内に相続税申告をしている場合に相続税の一部をマイナスできる

仮に法定相続分でわけたとして、配偶者の税額軽減以外の控除がないとすると、1億円の財産について子どもたちが払うのは合計で315万円。
相続税の総額は630万円ですが、個人別の事情を加味すると相続税は下がることがあります。

ちなみに配偶者がどれだけ相続するかでも、子どもたちが相続税をいくら払うかは変わってきます。妻が財産を一切相続しないとすると、子どもたちが払う相続税は630万円、すべてを妻が相続すると配偶者の税額軽減を利用して相続税はゼロになります。(税金がゼロでも特例を使うので申告は必要です。)

もし、遺産が1億円でなく6,000万円だとすると、子どもたちが払う相続税は60万円、いっぽうで2億円だと1,350万円。
遺産と比べたときに相続税が高いかどうか、具体的に金額を見て感じることはあるでしょうね。

財産の中に預金があれば負担感はないかもしれませんが、不動産が多く預金が少ないとなれば、相続人が自腹で相続税を払う可能性もあるわけで、「払えるか?」の準備はしておいて損はないでしょう。

実は次の相続も考えないと高いかどうかわからない

妻が相続すれば、相続税をゼロでいいじゃない?と思われた方もいらっしゃるでしょう。前述したように配偶者には1.6億円の財産まで相続税がかからないのですから。

確かにそうなのですが、ここで考えておきたいのは、妻の年齢。夫婦の年齢が近ければそんなに遠くない時期に次の相続がやってくることになります。

2次相続といわれるもの。

もし、夫の妻が相続財産とは別にじぶんで財産を3,000万円もっていたら、次の相続では相続税が増えることになります。

  • 基礎控除額が600万円減る
  • 配偶者の税額軽減が使えない
  • 生命保険の非課税枠が減る
  • 夫の財産と妻の財産が合算される

などが理由です。

結果、1次相続と2次相続を合算して考えると、もし、妻がすべて相続すると1次相続よりも税金が増えてしまいます。1次相続で「相続税がかからないから」と選んだ道が、実は相続税が一番高い道だったということもあるのです。

こうなると、やっぱり相続税は高いと感じるでしょう。
1次相続でどう相続するかで相続税の負担は倍ほど変わってくる可能性があります。
最安の道を目指すともめる可能性もありますが、最高を負担するのは誰しも避けたいのではないでしょうか。
「もめない」「払えるか?」のちょうどいいところを考えておくべきです。

ということで、「相続税が高い」のイメージを減らすためには、夫の相続のあとの2次相続まで考えておく必要があります。

それ以外にも2次相続までの対策として

  • 生前贈与をする
  • 2次相続でも小規模宅地の特例を利用できないか検討する
  • 1次相続で子どもに多めに相続してもらう
  • 妻が長生きするためのお金も確保
  • 生命保険の非課税枠の利用を検討する
  • 場合によっては財産構成を変えることも

などの相続対策は必要でしょうね。何も考えていないと相続税が高いというのを実感します。
もめないのも、払えるかも準備次第です。


【編集後記】
昨日はオフ。部屋を模様替えしようかといろいろ計画。マットをいれたり、棚を変えたりしようかとネットを物色。スタンディングデスクが重いのでこれをどうするか。なんだかんだで年1回くらいはやっています。

【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
スタバ おさつ バター フラペチーノ


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