「そうだ、不動産を贈与しよう」となる前に考えておきたいこと。

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「不動産を贈与したい」という声はあるものの、贈与するとなれば考えておいたほうがいいこともある、ということで、贈与をする前に一度立ち止まって、確認しておきたい点をまとめました。

目次

「不動産を贈与したい」

相続対策の1つとして贈与が検討されることがあります。
生前に誰にわたすか、いつ渡すかを選べるのが贈与の特徴です。

贈与とは「あげる」こと。
お互いに「あげる」「もらう」という意思表示は必要です。

次に何を贈与するか。

その財産の種類には、特に制限はありません。
お金、不動産、権利などでも贈与することはできます。

ただ、贈与するのに注意しないといけないことも。
その1つは不動産。不動産を贈与したいという声も意外とあります。

ただ、不動産の贈与にはデメリットもあり、もし不動産の贈与を検討しているなら事前に知っておいたほうがいいことです。


そのポイントを次からお話します。

「不動産を贈与したい」という場合の注意点。

移転のための税金が相続に比べて高い

贈与でもっとも扱いやすいのはお金です。

お金を贈与するのであれば、子や孫などの銀行口座に振り込むでしょうし、かかるコストといえば振込手数料くらいのもの。

でも、不動産の贈与というと話がかわります。

贈与税の申告や支払い以外にも

・登録免許税
・不動産取得税

などが必要になります。

不動産は登記が必要ですから、その登記のコストとして登録免許税や司法書士報酬がかかります。
じぶんで登記するという手もありますが、それでも登録免許税はかかります。

贈与の場合、登録免許税は「固定資産税の評価額×2%」。評価額が2000万円なら登録免許税は40万円です。

これに対して、相続登記の登録免許税は「固定資産税の評価額×0.4%」で贈与の場合の1/5。
不動産の贈与の場合には登録免許税を払うことも考慮しておきましょう。

不動産をもらっているので、不動産取得税という税金がかかるケースもあります。
不動産取得税がかかるなら、ざっくりいえば固定資産税評価額の3%ほど。
いっぽうで、相続の場合には不動産取得税はかかりません。

贈与するなら、贈与税以外にもかかる税金があるのは知っておいたほうがいいでしょう。

もらった人が払う

その移転にかかる手続き料金や税金を払うのは誰でしょうか。

不動産をもらった人です。
不動産を贈与でもらうのはいいものの、贈与税もそれなりに高い…。

もらった側のお金から払うわけですが、その金額が何百万円となることもあり、お金の準備が必要です。

お金の贈与なら、もらったお金から払えばいいのですが、不動産の場合はすぐに売るという話にもならないでしょうし、相続でお金を引き継ぐのとは違って、贈与から相続までの期間が空くことになります。

ならお金も一緒に贈与でもらうという手もあるでしょうが、これまた贈与税も増えるわけです。
それを乗り越えても不動産を贈与したいかどうかを考えてみましょう。

贈与した土地には小規模宅地の特例が使えない

相続税の申告をするときに利用できる特例「小規模宅地の特例」。

要件をクリアする必要はありますが、土地の評価額を大きく減額でき、自宅の土地なら330㎡以下なら20%の評価になるのがメリットです。
たとえば、3000万円(300㎡)の自宅土地なら、相続税の申告では600万円の評価でいいわけです。

ただ、この「小規模宅地の特例」を利用できるのは、相続や遺言など相続のタイミングで引き継いだ土地だけ。
贈与でもらった土地には、「小規模宅地の特例」を利用することができません。

そもそも土地の贈与なのだから、相続には一見関係なさそうと思われるかもしれませんが、そうでもありません。

実は生前に贈与した財産でも、相続開始前3年以内(2024年以降7年以内に移行予定)に相続人などに贈与した財産は相続税の計算に含めることになっていますので、不動産を贈与していれば、相続財産に加算されるケースもあります。

現状(2023年12月31日)の生前贈与加算。

2024年1月1日以降の生前贈与加算(7年フルになるのは、2031年以降)

ただ、前述したように贈与でもらった土地には「小規模宅地の特例」を利用することができません。
払う相続税にも大きな影響があるでしょう。

ということで。
いざ相続があったときに「やっぱりなし」と言わなくてもいいように、「小規模宅地の特例」のことは確認したほうがいいでしょうね。

わからなければ、贈与をする前に一度は税理士に相談してみるのもおすすめです。

共有で渡すのはどう?

不動産を贈与するとなると、評価額が大きいですから贈与税の負担も大きくなります。
それだけに「共有で渡したらどうか?」と考えるかもしれません。

ただ、結論から言えば不動産の共有はおすすめしません。(例外もありますけど。)
共有にできないことはありませんが、その後は不動産をどうするかを決めるのも全員で、となります。

共有する人に相続があれば、妻や子どもなどさらに持ち主が増えます。

仮に不動産を売りたいと思っても、全員が合意するのはカンタンではありません。
普段から会っていないような関係性ならばなおさら。

1人でも反対があれば動かすことはできません。
相続対策を踏まえたら、動かしやすくしておくに越したことはありません。

ということで、「不動産を贈与したい」というときに考えておきたいことをまとめてみました。
結論、生前の贈与をするなら余裕資金の範囲でのお金がシンプルです。


【編集後記】
昨日はオフ。子どもたちと3人で家でのんびりと。夕方に長男(8)とサッカーの練習をしようと近所のグラウンドへ。ワンバウンドありのリフティングで2人ではなかなか続かずでしたが楽しめました。

【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
石垣島のパイナップル


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