会社の決算のときに社長の相続も考えてみたほうがいい理由。

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会社は個人ではなく相続はないわけですが、会社の社長は個人。

決算のタイミング、年1回にくらいは、相続のことも考えておくのがおすすめです。その理由をまとめてみました。

目次

法人には相続がないけれど

会社は法人という名のとおり、法律のルールで人としての扱いがあります。

個人なら所得税ですが、会社は法人税。個人だと住民税、会社は法人住民税というように税金の名前も違います。

それはそれとして。
個人には相続があるのですが、会社には相続はありません。

それなら、会社は相続と無縁でしょう、…というとそうでもありません。

会社には社長がいます。この社長は個人です。

だから、会社といえども相続とはまったく関係ないとは言えないでしょう。

実際、会社と社長個人が取引していることも多いです。

決算書で相続財産になるものを確認する 

会社と社長の取引があれば、ときどき自社の決算書を確認してみましょう。

決算書に載っている相続財産、次のようなものがあります。

お金の貸し借りがあれば「貸付金」

決算書の貸借対照表に「役員借入金」が記載されていたら、その金額がいくらかチェックしてみましょう。

その金額は、社長が会社に貸しているお金です。社長の相続では「貸付金」という財産になります。

もし「役員借入金」が3,000万円あれば、その3,000万円が「貸付金」という相続財産になります。
この「貸付金」を相続財産に含めて相続税を計算し、払うことになります。

お金がないからと貸付金を相続した相続人から「お金返して」と言われたときに会社が払えないというのは避けたいもの。払った相続税に見合ったお金が回収できないということになります。

そうならないように役員借入金の残高が多すぎないかを決算のときなどにはチェックしておき、ときどき精算しておくのがいいでしょう。

会社の株主だから「株」が相続財産に

中小企業の場合、会社の筆頭株主は社長です。

上場企業とちがって、中小企業には株を取引する市場はありません。
それもあって、「株価は額面でしょ」と思われていることも多いです。

でも、そうではありません。

ざっくりいうと、

  • 会社が利益を出すと、株価も上がる
  • 会社が赤字だと株価も下がる

というイメージです。

会社を続けるには利益を出す必要があります。
となれば、株価は少しずつ上がっていくと考えたほうがよさそうです。

もし社長の相続があれば、社長が持っている会社の株式は相続財産になります。

相続時点で株式の評価が6,000万円になっていたら、それだけで相続税がかかるなんてことにも…。

中小企業の株を買ってくれる人はそうそういないでしょうから、会社の株もお金に換えにくい財産だと言えます。

対策としては、会社を今後どうしていきたいかを早めに考えておきましょう。
もし、子どもが後継者がなら、子どもに少しずつ渡すことも検討します。

なお、相続人で株を共有すると、会社が決議できずに動きにくくなる可能性があるのででおすすめしません。
後継者の方になるべく多くの株を持っていただきましょう。

ただ議決権の問題もあるので、そこはバランスをとりながら…になります。

会社が社長から土地を借りている

社長が個人で持っている不動産を会社に貸しているというケースがあります。

会社は社長に賃料を払います。

このとき賃貸で貸していれば、「小規模宅地等の特例」を利用できる場合があります。
利用できれば土地のうち400㎡までは20%で評価できますから、相続税の節税にもなります。

ただ、どこかで資金繰りが悪化したなどの理由から、会社が支払いを停めてしまうとどうなるでしょうか?

(会社と社長、まったくの他人ではないので、そういうこともありえます。)

土地の賃料を払っていないのですから、会社の貸借対照表には未払金が増えていきます。

反面、社長からすれば「未収入金」が増えていくことになります。これも前述の貸付金同様に相続財産になります。

会社の貸借対照表を見て、地代の未払金が増えていくなら早めに対策を考えたほうがいいでしょう。

というと、「賃料をゼロにすればいいじゃない?」と思われるかもしれません。

確かにそのとおりです。ただ、「小規模宅地等の特例」を利用するには賃料を払うことが前提。タダ貸しでは「小規模宅地等の特例」を利用できなくなりますから、より影響が大きくなる可能性があります。

そうなる前に一度、税理士に相談したほうがいいでしょう。

結果、未収入金を相続人が引き継いで会社に「払って」といっても、すぐに回収できるとは限りません。

で、払ってもらえないと、もめる原因になりえます。

…となると、やはりお金に換えにくい財産だといえそうです。

会社にお金があるうちに対策しておくのがおすすめです。

分割の対策も必要

会社の社長の相続では、会社に関係ある財産が多く、相続する財産が相続人間でかたよる可能性があります。

少なくとも、会社の株式は後継者が相続するでしょうから。

それだけに、事前にもめないような対策も必要です。

  • 遺言書を書いておく
  • 生前から相続人と話をしておく
  • 代償分割も踏まえて後継者を受取人とする生命保険を検討する

などは生前に検討しておいたほうがいいでしょうね。

会社の社長の相続は、会社の株式や会社の取引があるため、通常の相続とは少し違いますし、事前の対策も必要です。

「あのときやっておけば…」とならないように。決算のタイミングなど年に1回。決算書を見つつ相続を考えていただくのがおすすめです。


【編集後記】

昨日はじぶんの月次や請求書の発行などを。セミナーの告知などを。

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