生命保険金は、相続対策としても利用されることがあります。
相続税の対策だけでなく、「もめない」「払えるか」の対策にもなり、将来の相続を踏まえて検討してみるのもおすすめです。
相続対策としての生命保険金
相続を考えた対策は、早いうちに考えておいたほうがいいでしょう。
その対策には、
「もめない」
「払えるか?」
「相続税の節税」
といった3つがあります。
このとき、相続税の節税よりも優先したいのが、「もめない」「払えるか?」
なぜなら、相続税の節税を優先すると、お互いにじぶんの払う相続税を減らしたいという気持ちが出すぎてしまい、結果的にもめることになるからです。
相続税がかかる場合で、財産の分割が決まらないまま、特例などを使うこともできず、そのまま申告することになります。
その場合はいったん多くの相続税を払うことにもなります。
相続でもめてしまうと相続税の申告はどうなるの? – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
となると、相続対策として「もめない」は前提になりますし、もめないために分けやすいかどうか、相続財産の内訳も把握しておきたいものです。
内訳というのは、お金や不動産、株式など、どんな財産があるかです。
たとえば、相続財産がほとんど土地、というのであれば分けにくいでしょうし、相続税を払うにも手元にお金がなく困ることもあります。
そこで一緒に考えたいのが「払えるか?」です。
対策として生命保険金を活用する方法があります。
生命保険金と預金との違い
どちらも相続税がかかる生命保険と預金。この2つには大きな違いがあります。
ここでは生命保険を取り上げてみます。
亡くなった方が生命保険をかけていた場合、相続があったら受取人になっている方の口座に保険金が入金されます。
実は、この生命保険金にも相続税がかかります。(保険料を被相続人負担とした場合)
生命保険金にかかる税金についてはこちらの記事で。
生命保険と税金のハナシ 契約を見直しをしてみるのも大事 – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
ただし、相続税がかかる保険金で受取人が相続人の場合には、相続税の非課税枠があります。
具体的には「500万円×法定相続人の数」までは、相続税がかかりません。
たとえば、
生命保険金1,000万円
- 契約者:父(被相続人)
- 被保険者:父(被相続人)
- 保険料支払い:父(被相続人)
- 相続人:母、長男、長女の3人
- 受取人:長男
という前提で考えてみましょう。
この場合、生命保険金1,000万円には相続税がかかるのですが、受取人が相続人である長男。
受取人が相続人なので、非課税枠を利用することができます。
で、生命保険金の1,000万円は、非課税枠1,500万円(500万円×法定相続人3人)の範囲内です。
結果として相続税はかからず、そのお金を長男がそのまま受け取ることになります。
(相続放棄をすると相続人ではなくなるため非課税枠の利用はできませんが、生命保険金を受け取ることはできます。)
同じお金でも、預金で1,000万円だと相続日時点の預金残高に相続税がかかるので、お金は目減りします。
というと、「相続財産だからみんなで分けるんじゃないの?」という声もあるかもしれません。
確かに通常の相続財産の場合、遺言書がなければ、遺産分割協議で財産をどう分けるかの話合いをするのですが、生命保険は相続財産ではなく、受取人の財産(権利)という扱いです。
だから、遺産分割協議の話し合いの対象にもならないのです。
預金と生命保険金。同じ被相続人のお金でも、
- 預金 →相続日時点の残高に相続税がかかる。遺産分割協議の対象
- 生命保険金→相続税の非課税枠がある。遺産分割協議の対象にならない
という違いがあります。
さらに生命保険についてまとめると、
- 生命保険金には相続税がかかる(非課税枠あり)
- でも、財産をわける話し合い(遺産分割協議)の対象にはならない(原則)
といいう特徴があります。
「払えるか?」への活かし方
ここまで生命保険金が「払えるか?」の対策になるという話をしてきました。
ではその「払えるか?」にどう活かすか。
相続税を払うためのお金、さらにもめないために相続人に払うというケースもあります。
前述したように、不動産が多いなど相続財産が分けにくい場合に、相続人に代わりにお金をわたして分割することがあります。
代償分割といわれる方法です。
相続で分けにくい不動産を相続人で共有しない道。代償分割という方法。 – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
そのためには、分けにくい財産を引き継ぐ相続人を生命保険金の受取人にしておく必要があります。
それによって結果的に「払えるか」ということ「もめない」ということにつながります。
分けにくいと、どうしても揉めやすくなりますので。
となれば、やはり事前の対策というのが必要となります。
生前のうちに
- 相続財産の内容を確認する
- 相続後のお金の対策は大丈夫そうか(相続税を払う・もめないためのお金)
というのを考えてみましょう。
余裕資金の範囲で、生命保険も検討してみるのもおすすめです。
【編集後記】
昨日は法人の決算、オンラインセミナーに参加。夜は子どもがキン肉マンに影響されてかリクエストで吉野家へ。かなり久しぶりにいったらメニューが増えていてボリューム満点でした。
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