毎月の経理はざっくりでいいわけですが、それでも銀行などに決算書や試算表を出す場合もあり、使わないほうがいい科目やありえない残高は避けたほうがいいです。
どういうことなのか、まとめてみました。
ある程度は自由だけど
経理をするときにどんな科目を使うか?で迷うこともあるかもしれません。
それだけに「間違っていたらどうしよう」と経理をじぶんでやるのが不安だという声も聞きます。ただ、過度に気にする必要はありません。多少科目が違っていても税務署に怒られることはありません。
むしろ、新しい仕事をすれば会計ソフトにある科目以外をつくったほうがいいです。
新しい仕事をやったら経理の勘定科目をつくってみよう。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG
税務署が見るのは、売上ならモレがないか?経費であれば、経費になるか、ならないか?といった部分です。
経費の科目が違っていても、税金計算に影響なければ問題ありません。
ただ、影響する科目もあります。たとえば、固定資産。固定資産になるものは、経費科目でなく、工具器具備品など固定資産の科目で経理しておき、その後に減価償却をしていきます。
仕事用のクルマ。「新車」・「中古車」・「新古車」の減価償却を解説。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG
それ以外にも役員報酬や交際費、寄付金など税金のルールが決められた科目もあるのですが、例外です。燃料費でも車両費でもどちらでもいいですし、消耗品費を間違えて通信費になっていてもどちらも経費。
それで税務署が怒ることはありません。
だからといって何でもいいというわけではないです。科目が適当すぎると、数字をチェックするときにじぶん自身が困りますので。
仮に間違いがあっても、申告までになおせばいいだけです。
数字をチェックできるようになりたいなら、「科目が違っていたら困るから…」を理由だけで経理を放棄しないほうがいいでしょう。
使わないほうがいい科目
いっぽうで、外の目もある程度気にする必要はあります。
というと、矛盾していると思われるかもしれませんが、毎月の経理ではざっくり、外に出すときにはしっかりということです。
そんな中、使わないほうがいい科目もあります。使わないほうがいい科目とは、たとえば次のようなものです。
・仮払金
・役員貸付金
・雑費
たとえば銀行。
銀行からお金を借りていると、定期的に決算書や試算表を見せてほしいという場面があります。そのときは決算書や試算表を見て判断されることもあるので注意が必要です。
それぞれの科目についてなぜないほうがいいのかを解説します。
仮払金
仮払金、文字通り仮に払ったお金。ただ、お金の支払いがあったものの、何に使ったかわからないときに、いったん仮払金にしておくという傾向があります。
ただ、結論から言えば、仮払金の残高はないほうがいいでしょう。
銀行が決算書や試算表で貸借対照表を見たとき、仮払金が8,234.333円と載っていたらどう思うか?
理由があって払ったお金、一時的な前払いならともかく。大きな金額が残高になっていると目に付くでしょう。ましてや千円以下の端数があれば、「もしかしたら経理がテキトーなのでは?」と想像することはありえます。
すると、決算書や試算表を見て判断することもあるのですが、その数字すら信用できるのかと不安に思われてしまう可能性があります。
もし違うなら説明をすればいいのですが、毎年、いつ見ても仮払金があるような場合には「怪しい…」と思われる可能性はあります。
役員貸付金
会社の場合は役員貸付金も避けたほうがいいでしょう。
役員貸付金というのは、会社が社長にお金を貸しているということ。
なぜ役員貸付金があるとマズイのか。
銀行の立場になってみましょう。役員貸付金が1,000万円あったらどう思うでしょうか?
「これはお金を貸しても、社長のプライベートのお金に流れていくのでは?」と思うのがふつうです。
となれば、せっかくお金を貸したくても、仕事の目的に使わないのでは、「いやー、ちょっと貸すのは…」となる可能性もあります。
まぁ、それだけで決まるわけではありませんけど、印象はよくないでしょう。
社長が会社にお金を貸すことはよくあることですが、会社が社長にお金を貸すのは避けたほうがいいわけです。
雑費
雑費は会計ソフトに初期設定である科目です。どの科目にもハマらない経費に使います。ある意味でオールマイティー。ただ、これがいいようでそうでもないです。
なぜなら、雑費があると何でも雑費にしてしまう傾向にあります。
「何の科目がいいかわからないから雑費で」というのを繰り返しているうちに、雑費が膨れ上がってしまうということになります。
すると、どんな経費を使っているかをチェックしたくても、雑費が大きすぎてよくわからない…ということに。やはり決算書や試算表を外に出したときには「経理がずさんなのでは…」と思われてしまうでしょう。
雑費は使わないほうがいいでしょうね。
科目の残高がありえない…
貸借対照表の科目には、残高があります。その残高がおかしい…とひと目でわかる場合もあります。
・預金がマイナス
・売掛金がちっとも減らない
・借入金の残高があわない
などなど。
預金残高がマイナスというのはふつうに考えてもありえません。それなのに預金残高がマイナスだったら?
「ありえん…」と思うのは明らかです。
マイナス残高がありえないのは預金に限りませんけど。
なので、マイナス残高の科目があるままで外に資料を出すのは、避けたほうがいいでしょう。貸倒引当金は別として。
また売掛金についても同じで、売掛金は本来は入金があれば残高は減ります。にもかかわらずいつまで経っても売掛金の残高が減らないということであれば、入金がないか、経理処理が間違っているか、それとも…。
いずれにしても、経理は怪しいというのは決算書や試算表からも判断できるわけです。
そして借入金の残高。通常は銀行からの借入金の返済表の残高と一致するはずです。
ところが、その残高があっていない可能性もあります。これはじぶんのところでお金を貸しているなら気づくでしょう。
ある程度ざっくりだとしても、整えておいたほうがいいところはあります。
ということで、決算書や試算表を税務署や銀行など外に出すなら使わないほうがいい科目、ありえない残高は避けたほうがいいという話をしました。
参考にしていただければ。
【編集後記】
昨日はセミナー企画、相続の仕事、銀行で打合せ。その後はスタバで読書とブログを。夜はとある研究を。だいぶ目処はつきました。
【昨日の1日1新】
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