2023年10月よりインボイス制度が始まります。
その登録申請は2023年10月1日より始まっており、その内容とe-taxでの登録申請の流れをまとめてみました。
インボイス制度って?
2021年10月1日から、インボイス制度の登録が始まりました。
インボイス制度ってなに?という方も多いかもしれません。
結論からいえば、2023年10月1日から消費税のルールが大きく変わるという話です。
これまで前々年(前々期)の売上が1,000万円以下だからという理由で税務署に消費税を払ってこなかった方も、これからは払うことになるケースも出てきます。
では具体的にどんなことが変わるのか?ざっくりとまとめてみました。
インボイス制度で変わる7つのコト
インボイス制度がはじまることで、どんなことが変わるのか?
7つのポイントで解説します。
<その1>何が変わるの?
これまで請求書を出すとき、本体価格とともに、消費税の請求もしていたかと思います。
たとえば、売上が10万円+消費税1万円というように。
これまでは、消費税を税務署に支払ってなくても、請求書に表示して請求もできたわけです。
2023年10月からのインボイス制度が始まったあとは、インボイス事業者の登録をしていない場合、消費税を実質的に請求ができなくなります。
そして、インボイス事業者になるためには、税務署にインボイス事業者の登録を申請することが必要になります。
登録申請の方法については、後述しています。
<その2>なんのために?
これまで前々年(前々期)の課税売上が1,000万円以下になるフリーランスや会社(消費税の免税事業者)は税務署に消費税を払わなくてよかったわけです。
本来、税務署に払うべき消費税を、収入にすることが認められていました。(益税といわれるもの)
これまでは、それで何の問題もなかったのですが、国としては「消費税はやっぱりもらわないといかんな」と、収入にするのを解消しようという動きになりました。
そうして、2023年10月。インボイス制度をスタートするという流れに。
これまで税務署に消費税を払わなくてよかった人も、消費税を払う可能性がでてきます。
<その3>なぜ消費税を払う可能性がでてくるのか?
同じ仕事をAさんとBさん、どちらに頼むかで税務署に支払う消費税の金額が変わる可能性があるからです。
具体例で考えてみます。
- Aさん→インボイス事業者の登録をしていない
- Bさん→インボイス事業者の登録をしている
前述したように、インボイス事業者の登録をしていないと、消費税を実質的に請求できなくなるということでした。
Bさんに仕事にお願いする場合、Bさんはインボイス事業者。
これまでどおり、消費税分を売上の消費税からマイナスすることができます。
いっぽうでAさんはインボイス事業者の登録をしていません。
この場合、Aさんへ仕事を依頼しても、売上の消費税からマイナスできる消費税がないため、取引先が税務署に支払う消費税の負担は増えてしまうということになります。
そうなると、取引先から見たときに、同じ仕事をどちらに頼むか?
- 税務署に払う消費税が安くなるならBさん
- 税務署に支払う消費税の負担が増えたとしても、Aさん
ぜひAさんにお願いしたいという選択もありえます。
ただ、消費税の負担もそれなりです。税負担が軽くなる方を選ぶ可能性は高いでしょう。
さらに取引先の経理の負担も変わります。その点も判断材料になるでしょう。
同じ外注費でもAさんだけ消費税の税区分が違うとなると、ややこしい話です。
外注費ならすべて課税仕入で経理したいという意見もあるでしょうね。
<その4>インボイス事業者に登録すると何が変わる?
インボイス事業者に登録するには、インボイス事業者になるための登録申請をする必要があります。
ただ、インボイス事業者に登録するということは、じぶんから「税務署に消費税を払うことにするよ」と手を挙げることを意味します。
たとえ前々年(前々期)の売上が1,000万円以下であっても、です。
<その5>取引先にこちらの内情がわかるの?
これまでは、取引先が消費税の免税事業者か、課税事業者なのかはわかりませんでした。
じぶんで公言しない限り。
ところが、インボイス制度がはじまると、取引先にもわかることになります。
請求書には、インボイス事業者の登録番号を記載することになっています。
請求書を受け取ったら、
- Aさんからの請求書→インボイス事業者の登録番号(13桁)の記載がない
- Bさんからの請求書→インボイス事業者の登録番号(13桁)の記載がある
ということからAさんはインボイス事業者の登録をしていないことがわかります。
こういった国税庁の検索サイトもあります。
<その6>登録しないといけない?
強制ではなく、それぞれの選択です。
上記のように取引先にも影響があるというのは、取引するのが会社や個人事業者の場合です。
もしも、主に取引をするのが、事業をやっていない、いわゆる消費者であれば、税務署に消費税を払う必要はないので、売上の消費税からマイナスできない、という話はそもそもありません。
インボイス登録しなくても、それほど影響はないでしょう。習字教室に親が「登録番号ないですよ」と言ってくるかどうか。
売上金額、どんな方と取引しているかが、選択のポイントになります。
- 毎年の売上が1,000万円を超えている
- 会社や個人事業者との取引がほとんど
という場合には、インボイス事業者へ登録の道を選ぶ方向性になるでしょう。
ちなみに現在、消費税を税務署に払っているという方でも、インボイス事業者の登録申請をして、インボイス事業者の登録番号を取得しないといけません。
自動的に移行するわけではないという点に注意です。
<その7>開始時から番号を利用するならいつまでに申請すればいい?
インボイス制のスタートは2023年10月1日です。
もし、2023年10月1日からインボイス事業者の登録番号を請求書に表示させたい場合には、2023年3月31日までに登録申請をすることが必要です。
その他に経過措置などもありますが、もう少し詳しい内容はこちらの記事で説明しています。
2023年10月に消費税の「インボイス方式」が始まったら。取引先の経理にも影響あり。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
登録申請はe-tax(Web版)がおすすめ
インボイス事業者の登録申請をするには、e-tax(Web版)がおすすめです。
やってみてよかったのは、質問に回答するだけで申請書をつくれたという点です。
定形の書式に入力するとなると、どこに何を入力すればいいのかわかりませんが、ヘンにむずかしくしていないところはいいかなと。
登録申請する場合にはこちらから申請をしましょう。申請には、マイナンバーカードが必要です。
E-tax(Web版)にログインします。
真ん中の「申告・申請・納税」をクリックし、
続いて、一番上の「新規作成」をクリック。
ズラーッと並んでいる項目の一番下に、インボイス制度の申請・届出メニューがあるので、その1番上の「適格請求書…(国内…)」を。な、長い…。
これはこのまま「OK」で大丈夫です。
本来、消費税を税務署に払う道を自主的に選ぶ場合には、「課税事業者選択届出書」という書類を出さないといけないのですが、今回の申請をすることで、その届出書も出したことにするよという意味です。
これで売上が1,000万円以下になったとしても、請求書にインボイス事業者の番号を表示できますが、消費税を税務署に払い続けるわけです。
「本人送信を行う」を選び、「次へ」をクリックし、
提出先税務署などは表示されているもので「次へ」
作成をクリックします。
名前が自動的に表示されています。そのまま「次へ」
現状、該当する方を選んで次へ。
もし、「いいえ」を選んだ場合には、こちらの内容を確認しチェックを入れていきましょう。
と、そのあと順番に答えていくと、作成完了となります。
訂正などなければ「次へ」
PDFファイルを表示すると、
申請書の形式ができあがっています。ここに直接入力させないところはナイスです。
記載の内容に間違いがなければ、マイナンバーカードで署名して申請しましょう。
その後、インボイス事業者の番号が届いたら、請求書に反映させていく流れになります。
ということで、インボイス制度の流れと申請手続きを解説しました。
スタートに間に合わせるには、2023年3月31日までに申請することです。
そう急いでやる必要はありませんが、この記事を参考にどちらの道を歩いていくかを少しずつ考えていただければ。
【編集後記】
昨日は午後からお客さまと打合せ。夜は長女(12)の勉強の相談にのったりという1日でした。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
養老軒 マスカット大福