相続税を減らすためにやっておきたい 「債務」をもれなく集めること

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相続税を計算する上で、財産からマイナスすることができる債務(葬式費用も)。

その債務をいかにもれなく集めることができるか?見落としやすい債務をまとめてみました。

目次

債務は財産からマイナスする

相続税の計算をするときは、ざっくり言うとこんな数式で求めます。

財産−債務・葬式費用+生前贈与加算=純財産

と、ほんとうにざっくりですが…。

さらに

  1. 純財産
  2. 基礎控除額(3,000万円 +600万円 ×法定相続人の数)
  3. 法定相続人の数

をもとに相続税が決まるわけです。

この相続税、財産額次第ではそれなりに大きな金額になることもあります。

相続対策としては、もめないことが大事とされます。

でも、相続税を払えるかどうかも同じように大事。

であれば、相続税を減らすために財産から差し引くことができる「債務」、これをもれなく計上するということもやっぱり大事じゃん、ということになります。

補足
葬式費用はもらすことがそれほどないので、今回はネタとしていません。

見落としやすい こんな債務

財産からマイナスすることのできる債務は、相続人が引き継ぐ債務で、相続開始日に存在している債務。

「支払えるか?」の問題をクリアするには、本来払う必要のない税金をいかに減らすか、です。

 

そのポイントとなるのが、金額が小さな債務ももれなく集めることです。

特に注意したいのは次のようなものです。

<その1>税金

意外と見落としがちなのが、税金。

確定申告では「経費にならない」とカヤの外の所得税や住民税。

ところが、相続税の計算では相続日時点で未払いのものがあれば、所得税だろうと、住民税だろうと財産からマイナスできます。

未払いの消費税も同様です。

このあたり、所得税や住民税とは大きく違うところです。

(そもそも経費なる?ならない?でなく、未払金という貸借対照表のイメージ)

さらに準確定申告の所得税も生前の収入ににかかる税金、ということでやっぱりマイナスできます。

次は固定資産税。

固定資産税は1月1日時点の所有者にかかる税金。

なので、相続があったのが納税通知書が送られてくる前だとしても、1月1日以後なら支払い義務はあるので、財産からマイナスできます。

特に気をつけたいのが住民税。

1月1日時点で住民票のある所に払うことになっています。

なので1月1日以降に亡くなっていれば1年分の支払い義務はあるので、納付書が届いていなくても未払い分があれば債務です。

補足
計算して見るとゼロで債務にならないというケースもあります。念のため市町村に確認しましょう。

といっても、実際に払っているかどうかは、納税通知書だけを見てもわかりません。

通帳や現金払いの納付書控えを確認したり、市町村に問い合わせるなどして、実際に支払っているかどうかを確認することになります。

<その2>未払医療費

医療費は、相続があってから払うものもあります。

亡くなった人が生前に入院していた料金の精算、介護を受けていたことでのサービス料の代金であれば、相続があった後に払っていても債務控除の対象になります。

なお、この未払医療費。

亡くなった人とおサイフがいっしょ(同一生計といいます。)であれば、払った相続人の医療費控除の対象にもなる、ということも付け加えておきます。

<その3>クレジットカード

債務の中で見落としがちなのが、クレジットカード払いにしているもの。

生前に利用していれば、クレジットカードの利用明細に載ってくるのは、1〜2ヶ月くらい後のこと。

そうすると、直前に利用している分があった場合、相続があった後、1ヶ月程度の通帳の内容を見ても足りないといったケースもあるでしょう。

通帳には合計金額で記載があるものの、相続日をまたいでいるのが普通。

その中で相続開始日までのものを拾う必要があります。

最近は、クレジットカードの利用明細が送られてこないパターンもあるので、場合によってはネットで確認することも必要かと。

<その4>事業の債務

亡くなった方が、個人事業者だったり、不動産オーナーだった場合には、事業の債務があるはずです。

まずは青色申告決算書の貸借対照表をチェックしてみましょう。

不動産賃貸なら預り保証金などはあるはずです。(載せていないとわかりませんが)

<その5>借入金残高+未払利息

見落としがちな債務、最後は借入金に関するもの。

債務として財産から−できるのは借入金の元本部分だけと思われがちですが、相続があった月に返済する予定の借入金、その利息分も債務控除として財産からマイナスできるものです。

これは事例で見た方がいいでしょう。

債務控除できる借入金とは?

  • 11月20日相続開始
  • 相続開始時の借入金残高 2,200万円
  • 11月借入金返済額    元本120,000円    利息 30,000円
  • 月末返済

【未払利息の計算】30,000円×20日÷30日=20,000円

相続開始の月については、支払うことが確定しているので、未払利息となります。

と言うことで債務控除できる金額は、次のようになります。

2,200万円+ 2万円= 2,202万円

これを計算するには、借入金の残高証明書では足りず。

利息を計算するには借入金の返済予定表などが必要になるので要注意です。

預金通帳でわかるようにしておく

債務をもれなくするためにやっておきたいのは、できるだけ預金からわかるようにしておくこと。

相続人が亡くなった人のおサイフの状況をキッチリ把握しているというのは、なかなかなく…。

そういうわけで、後から見たときにもわかりやすい方がいい。

そうすると、「預金口座からできるだけ支払うようにする」というのは欠かせません。

電話代や電気代、水道代に携帯代は口座振替になっていることがほとんど。

そうすると拾いモレするということはほとんどない、逆に現金で支払っているものは納付済みの領収書などから把握するということになります。

国民健康保険とか、固定資産税とか…捨てちゃっているかもしれません。

 

それよりは、通帳から支払い状況がわかるようにしておいた方が、債務がもれる可能性も減り、結果として相続税を下げることができるかと。

相続があった後の支払いには何かとヒントがありますし、逆に現金で払っているとどうしてもわかりにくくなりますので。

 


【編集後記】
昨日は自分の予定をいろいろと。夕方は子供たちと3人で買い物へ。こうなると当然にお菓子は買うことになります。子供たちの顔にも「お菓子買いたい」と書いてありましたので。

【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
ふるさと納税でもらったお肉
子どもたちと風船バレー


相続税申告・ひとりしごとをサポートします 植村豪税理士事務所

相続や贈与のことでお悩みの方、「決算書の数字が読めない」、「資金繰りを改善したい」、「クラウド会計を使ってみたい」というひとり社長やフリーランスの方のサポートに力を入れています。

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