2024年から利用しやすくなった「相続時精算課税」。
ただ、利用しようと思ったら「え、だめじゃん…」となってしまうことも多いです。
見落としがちな注意点をまとめてみました。
相続時精算課税のイメチェン
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。
過去は「暦年課税」のほうが年間110万円の非課税枠があり、「相続時精算課税」には110万円の非課税枠がなく、一度選ぶとその後の取り消しができず。
つまり「相続時精算課税」は、使いにくかったわけです。
ところがこの状況に税務署は2024年から「相続時精算課税」のイメチェン戦略に出て、「暦年課税」と同様に「相続時精算課税」にも同様に年間110万円の非課税枠を利用できるようにしたのです。
そんな背景もあり、2024年には相続時精算課税の利用が7.8万人と前年までの4.9万件と比べて60%ほど増えているわけです。

相続があったとしても、年間110万円までは、持戻しがないとされる「相続時精算課税」。今後も利用する方は増えそうです。
ところが「相続時精算課税」を利用するには、いくつかの注意点もあり、見落としがちなポイントをあげておきます。
「え…そうだったの」とならないための3つの注意点
年齢制限がある
贈与とは、財産をあげるヒトともらうヒトがお互いに「あげる」、「もらう」という意思表示をしてはじめて成り立つ契約です。
贈与は財産を誰にあげるか?について制限はないのですが、贈与税の計算で「相続時精算課税」を利用する場合には、年齢制限があることを知っておきましょう。
具体的には、財産をあげるヒトは1月1日時点で60歳以上の父母か祖父母であること。
(ただし、住宅資金の贈与特例をする場合には、年齢制限なし)
また財産をもらうヒトは、同じ1月1日時点で18歳以上の子どもか孫であること、つまり成人している必要があります。
1月1日時点の満年齢なので、今年60歳になるけど、1月1日時点では59歳という場合には、「相続時精算課税」を利用する条件にハマりません。(住宅資金贈与の場合には可)
「相続時精算課税」を利用するときには、あとで「え、そうだったの…」とならないように、年齢を確認しておきましょう。
利用できるのは「まっすぐ縦の家族関係」だけ
「相続時精算課税」を利用できるのは、まっすぐの関係じゃないと利用することができません。
どういうことか?
ざっくりいうと、利用できるのは「祖父(祖母)→父(母)→あなた→あなたの子(孫)」といった縦の関係です。
すると、「妻の父(母)→あなた」というと相続時精算課税は利用できませんし、「あなた→妻」という横の関係の贈与にも「相続時精算課税」を利用することはできないわけです。
「祖父→孫」は世代は違いますがまっすぐの関係なので、年齢などの条件をクリアしていれば、「相続時精算課税」を利用することができます。
ちなみに、「相続時精算課税」は財産をあげるヒトごとに利用するかどうかを決めるので、父からの贈与について「相続時精算課税」を利用したとしても、母からの財産の贈与については、別で「暦年課税」か「相続時精算課税」を選ぶことになります。
カン違いされる方も多いので、ここでお伝えしておきます。
取り消しができない
「相続時精算課税」の最大のデメリットとも言えるのが、一度選ぶと取り消しができないという点。
そのときは「相続時精算課税」を選んでも、長い人生、何があるかはわかりません。気持ちの変化もあるかもしれません。
そのときに「やっぱり相続時精算課税やめて、暦年課税に戻したい」といったところで、あとのまつり。
贈与税の計算には、そのまま「相続時精算課税」を利用し続けないといけません。
便利になった「相続時精算課税」ではあるのですが、ご利用は計画的に。
よく考えて選ぶようにしましょう。
「届出書」を出さないと利用できない
そのうえで、「相続時精算課税」を利用しようと決めたのであれば、届出書を忘れずに出しましょう。
財産をもらったヒトは、贈与があった日の翌年3月15日までに贈与税の申告をして、贈与税も払わないといけません。
同じ期限までに相続時精算課税の届出書も出さないと「相続時精算課税」を利用することができないのです。
ここで注意したいのは、年間110万円以下の贈与の場合。
年間110万円以下の贈与なら贈与税の申告をする必要もなく、贈与税を払うこともありません。
ただ、「相続時精算課税」を選びたいのであれば、届出書だけはきっちり出さないといけません。
なぜなら、届出書を出さないと税務署は「相続時精算課税」を利用する気があるのかどうかわかりません。
「相続時精算課税」を利用したいならちゃんと手をあげてよ、という意思表示をしてほしくて、届出書を出さないといけないことになっています。
利用しやすくなった「相続時精算課税」ではあるのですが、気をつけたいルールも多いです。
「こんなはずでは…」とならないように、利用するときには条件をよく確認しておきましょう。
【編集後記】
昨日はオフ。旅行の計画などを。
家族の希望で12月下旬に東京方面へ。
12月の鹿児島は
ひとりで行きますし、
家族の希望も。
夜は長男(10)とゲーム。
テニスと久々のFC25、
どちらも負けました。
まぁやり返します。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
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