相続があってから「相続したので確定申告が必要ですか?」とご相談いただくことがあります。
結論から言えば、相続するだけでは確定申告はいらないです。
ただ、その後の状況によっては、確定申告が必要な場合があります。
その考え方と事例をまとめてみました。
「相続=収入=確定申告」?
そもそも、確定申告(ここでいうのは所得税の確定申告のことです。)が必要になるのはどんなときか?
会社員の方であれば年末調整で完結することが多いですが、次のようなケースでは確定申告が必要です。
・給与以外に収入がある
・不動産収入がある
・個人事業をしている
・保険金や年金を受け取っている
など。
「収入があれば確定申告が必要」というイメージもあってか、「相続で財産を受け取った=収入=確定申告?」と気になるわけです。
確かに預金や不動産、保険金など、引き継いだ財産があります。
「あとから申告が必要と言われたらどうしよう」と不安になるのは当然です。
贈与で財産をもらった場合も、同じような質問をいただきます。
贈与でもらったお金は収入?(所得税の)確定申告をしないといけないのか。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG
ということで。
そのどう判断すればいいか?を次から解説します。
相続税がかかるか?所得税がかかるか?
確定申告が必要かどうか?
この話をする前に相続税と所得税がそれぞれどんな場合にかかるか?を整理しておきましょう。
ざっくりいうと、以下のようなイメージです。
・相続税:亡くなった方から財産を引き継いだときにかかる税金
・所得税:収入があり、利益が出たときにかかる税金(赤字でも申告したほうがいい場合あり)
亡くなった親の預金を引き継いだ場合、お金は口座に入金されるのですが、引き継いだだけで、運用による利益はない。
だから預金については、確定申告は不要ということになります。
いっぽうで、相続で引き継いだ仮想通貨を売って利益が出た場合には、その利益について確定申告が必要になります。
相続があれば、必ず相続税がかかるわけでもありません。
相続財産の合計が、基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、相続税はかかりません。
相続後に確定申告が必要になるケース3つ
では、どんなときに相続人が確定申告をしなければいけないのか?
ここでは、3つの事例を挙げてみます。
1.不動産を相続して賃貸している
亡くなった方からアパートや土地などの不動産を引き継いだあと、それを貸して賃料収入を受け取っている場合、その不動産賃貸は確定申告が必要です。
- 不動産を相続するだけなら申告は不要
- 賃貸収入があって利益 → 確定申告が必要
また、被相続人が年の途中で亡くなった場合には、次の2つの申告が発生します。
・1月1日~相続日まで:被相続人の「準確定申告」
・相続日の翌日~12月31日まで:相続人で「確定申告」
不動産貸付をしていた方の相続ですぐにやっておきたい手続き3つ。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG
保険金を受け取った場合
相続により保険金を受け取っている場合、確定申告が必要になることもあります。
というと、「相続で受け取る保険金には、相続税がかからないって聞いたけど…?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実は相続があって振り込まれた保険金といっても、どんな税金がかかるかは変わってきます。ケース別でまとめてみました。
契約者(保険料負担) | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
---|---|---|---|
亡くなった人 | 亡くなった人 | 相続人A | 相続税 |
相続人A | 亡くなった人 | 相続人A | 所得税(一時所得) |
相続人B | 亡くなった人 | 相続人A | 贈与税 |
ということで。
同じ相続が原因で受け取る生命保険金だとしても、誰が保険料を払っていたか?でかかる税金も変わります。
真ん中のケースのように、相続人がじぶんで保険料を払っていた場合には、相続税はかからずに所得税がかかることになります。
利益(保険金受取額-支払った保険料合計)が50万円を超える場合には、確定申告が必要になります。
相続した財産を売った場合
相続で引き継いだ財産を売ると、利益が出る場合があります。
この利益については確定申告が必要です。
また、相続財産を売ることで利用できる特例もあります。
相続から3年10ヶ月以内に相続で引き継いだ財産を売った場合、売却収入から相続税の一部をマイナスできる「相続税の取得費加算の特例」。
→
また、亡くなった方がおひとりさまで、空き家になった自宅を売る場合に「空き家を売った場合の特例」を利用できることがあります。
、相続から3年経過年の12/31までに売った場合には、売却益が3000万円までは税金がかかりません。なので、期間内に売るか、その後に売るかでは、税金の負担が大きく変わってきます。
相続後に財産を売ったら確定申告は必要になるのですが、前述の特例を利用する場合にも確定申告は必要になるので、覚えておきましょう。
ただし、相続税の申告で「小規模宅地等の特例」を利用していた土地については、申告期限前に売却すると、特例を使えなくなる場合がほとんど。
結果、相続税が増えてしまうことになるので、不動産を売る場合にはタイミングには注意しましょう。
ということで、相続があったときに、確定申告が必要かどうかについてまとめてみました。
参考になればうれしいです。
【編集後記】
昨日はオフ。
注文していた母の日のプレゼントが午前中に届き、
子どもたちからわたしてもらいました。
その後は長男(10)と3人でスタバに行き、
ちょっとだけ遠出して、はじめてのスーパーに。
日頃行くお店との違いもあり、楽しめました。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
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ビッグリブ(BIGLIVE)
