利益が出ればお金が増える・・・とは限りません。
「黒字倒産」などがあるのはそういったことが原因です。
利益とお金の動きは違う
「利益がでれば、お金も増えるでしょ。」
「利益とお金は一緒でしょ。」
そう考えられる方もいらっしゃるでしょう。
確かに現金商売の八百屋さんなんかで考えたら、そうかもしれません。
早朝に野菜を生産者の方から現金で仕入れて、その野菜を当日に現金で販売する。
このパターンであれば、「利益=お金」となり利益とお金の動きは同じになります。
でも、ほとんどの場合、そんなシンプルな取引ではなく、利益とお金の動きは同じになりません。
それは、次のような理由があるからです。
① 商品を売ったときと、代金を受け取るときのタイミングにズレがある。(買う方も同じ)
② 損益計算書には出てこないお金の動きがある
③ 損益計算書に表示されている費用の中にお金がでていかないものがある。
減価償却費はお金が出ていかない費用
お金が出ていかない費用の代表的なものには、減価償却費があります。
同じようなものでは、貸倒引当金のような引当金や固定資産の売却損などの損失金額などがあります。
ややこしくなるので、ここでは減価償却費だけ触れておきます。
設備などを買った場合には、その購入金額は買った年に全額を費用にすることはできず、税法で定めた耐用年数の期間にわたって少しずつ費用にしていくことになります。
損益計算書には、この毎年少しずつ費用にされる金額が減価償却費として計上されることになります。
一方で、お金の動きはどうかというと、現金で購入していれば、購入したときにお金は出ていきます。
設備の購入代金が1,000の場合、減価償却費として損益計算書に計上される費用は200、現金支出は1,000ということになります。
この差が利益とお金が同じにならない1つの原因です。
借入金の調達や返済は損益計算書に出てこない
一方で、お金が動いているのに損益計算書に反映されないものもあります。
固定資産の購入代金や売却代金、借入金による資金調達や返済額、配当金の支払い額などがその代表的なものになります。
固定資産の購入や売却については、前述したとおりですので、ここでは借入金について触れておきます。
銀行からお金を借りた場合、お金は増えますが、利益が増えるわけではありません。
また、借りたお金を毎月返済していく場合、お金は出ていきますが、だからといって利益は減るわけでもありません。
配当金は税金を精算したあとの利益を原資として、支払うことになり、配当金を支払っても通常は経費になりません。
借入金によるお金の動きも、配当金も損益計算書には出てきません。
これも利益とお金の動きが同じにならない原因です。
その他にも売上計上と入金のタイミングのズレや仕入など費用の計上と支払いのタイミングのズレなどもありますが、まずは減価償却費と借入金を押さえておきましょう。
利益とお金の動きが同じでないということであれば、損益計算書で利益だけを見ていても、お金の動きは見えてきません。
お金の動きがどうなのかを理解するために貸借対照表やキャッシュ・フロー計算書を見ておきましょう。
数字の流れを理解するためには、まずは「利益はいくらか」、「お金はどうして増えたのか」、「今、お金はいくらあるのか」といったところを見ることから始めましょう。
【編集後記】
昨日、話をした方に年末に一家で風邪をひいた話をしたところ、同じような状況だったという方が2人もいらっしゃいました。家族が胃腸風邪になり、自分は熱だけで胃腸風邪にならなかったという点まで同じでびっくりしました。健康管理には気をつけないと・・・。^^;