ものごとを判断するときはどの様に決定していますか?
私はメリットよりもむしろデメリットを許容できるかどうかを考えています。
メリットを受け入れることは何の苦もないが、デメリットを受け入れるには心の準備がいる
例えば、税理士のお客様からの相談でも「法人成り」の話はよくある話です。
税負担だけで考えたら、所得税と法人税の税率差があるため、事業規模が拡大して所得が増えてくれば、法人成りした方が有利になります。
法人にすれば、自分の手取り分は役員報酬を支給することで経費にでき、さらに給与所得控除額(概算経費のようなもの)も引けます。
所得の分散もできます。法人成りすることでのメリットは色々あります。
ただ、私はこういった行動をする場合には、デメリットはつきものだと考えています。
私の場合には、そのデメリットを許容できるかどうかを確認するようにしています。メリットを受け入れることには何の苦もないからです。
法人成りのデメリットの1つに社会保険の強制加入があります。個人事業主なら従業員を雇用していても、5人未満であれば任意加入でいいわけです。
あとは法人の場合には、赤字でも法人住民税の均等割額として最低約7万円の税負担が発生します。個人住民税の均等割額なら5,000円前後です。
これらを許容しても法人成りしたいかどうかです。
何か行動をしようとする場合には、デメリットを知って、いざという場合にそのデメリットを許容できるかどうかを考えるようにしています。
何も知らなくて、突然デメリットが現実化すると、パニックになって、とても受け入れられるものではありません。(少なくとも私はそうです。)
デメリットを受け入れるのが嫌な場合には、受け入れないような行動をする
デメリットを受け入れるのが嫌な場合もあります。
私の過去の行動を振り返ってみても、分岐点がいくつかありました。
分岐点に立った時点でのメリット・デメリットをいくつか挙げてみます。
独立しないことのメリット・デメリット
メリット
・ 勤務なので安定的に給料をもらうことができる(将来はわからない)
・ 労働時間はキッチリしている(ムダ残業はありませんでした。)ので、プライベートの時間も確保できる
デメリット
・ 会計事務所の枠の中で仕事をする必要がある(規律など)
・ 自分と家族の望みが叶わなくなる(いつか独立という思いがありましたから)
・ 自分の考えで動くことは難しい
会社を退職して税理士を目指さないことのメリット・デメリット
メリット
・ 安定したいい給料をもらうことができる
・ 福利厚生が充実している。将来の保証も手厚い
・ 奥さんに苦労をかけなくていい
デメリット
・ 根拠を持って発言できない自分と決別できない
・ 何十年後の自分の価値を見いだせないまま、働く必要がある。(今はいいけど・・・将来、同じように働けるかどうか不安)
といったところでしょうか?私の人生で大きな分岐点はこの2つです。
当時は家族、友人など色々な方に意見を聞いて、最終的に自分で決断してきました。
私としてはメリット以上にデメリットを受け入れるのが嫌でした。
会社員時代、上司に「どうして○○なのか?」と聞かれても、ときには根拠がわからないまま動き「○○さんが言っていたから」としか回答できないと思った自分が嫌でした。(実際、そんなことは言えませんが・・・)
今は法令に根拠があると知っていますから、わからないことは調べたりして、ある程度自信をもって回答できるようになりました。
自分に以前より自信を持てるようになったのも税理士になったことが大きいです。(奥さんには受験時代、苦労をさせてしまいましたが…。(>_<))
誰かの力になれていると感じたのも、実際に感謝の言葉を頂いたりしてです。
独立を検討した時、独立したら収入が下がり、食べていけない不安もありましたが、今日現在食べていくことはできています。
これはお客様や周りの方のお陰です。
逆にデメリットを受け入れるのが嫌で別の行動をしたら、メリットとして挙げたものを失ったかといえばそうでもありません。
プライベートの時間も確保できています。プライベートと仕事を兼ねてという相乗効果さえもあったりします。
自分のこれまでを振り返ってみて、「デメリットを受け入れたくなければ、別の行動をするべきだ」と強く思います。
何か行動する場合には、メリットとともにデメリットがあると思っていたほうがいいです。
そのデメリットを受け入れることができるかどうかを考えましょう。
【編集後記】
昨日は、決算業務と相続税申告業務で1日中事務所にいました。セミナーの申込を2つしました。今から楽しみです。