住宅取得資金等の贈与をした場合の贈与税の非課税規定 盲点になっていること

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今年、確定申告時期に名古屋国税局の確定申告電話相談をやらせて頂きました。

独立初年、色々経験できることはしておきたいと思ったのと、内情がどうなのかを知っておくのにはいい機会だと思ったからです。

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その時に問い合わせが多かったものの1つに「住宅取得等資金の贈与税の非課税」の適用を受けたいというものがありました。

目次

住宅取得等資金の贈与税の非課税とは

住宅取得等資金の贈与税の非課税規定とは、直系の尊属(祖父母や父母など)から住宅を建築したり、建売住宅の購入、あるいは増築や改築したりするための金銭の贈与を受けて、その金銭を建築代金や購入代金、増改築の代金に充てた場合には、その贈与を受けた金銭については贈与税は非課税ですよという内容です。

もらう方の要件、住宅取得等資金の範囲、居住用家屋や増改築における要件は細かく規定されています。ここでの細かい記載は割愛しますが、適用を受けたい場合には下記のリンクに適用を受けるための各種書式が用意されていますので、ご活用ください。まだ平成28年分のものは出ていませんが、非課税限度額が変更になる以外には大きな変更はありません。

贈与税の申告等

資産税(贈与税及び譲渡所得)関係 特例適用チェック表

適用に当たって注意すべきこと

住宅取得等資金の贈与税の非課税を受けるに当たっての注意点をいくつか紹介します。これらは意外と盲点となっている内容ではないでしょうか?条文をなるべく簡略化して見ていきたいと思います。

1 もらう方の年齢要件に注意

 個人で、住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の1月1日において20歳以上であつて、当該年の年分の所得税の合計所得金額が2,000万円以下である者をいう。(一部略)

という条文になっています。ここで注目したいのが、年齢です。贈与年の1月1日で20歳以上ということは、例えば贈与年の6月4日に誕生日が来て20歳になる方は、その後年内に贈与を受けても、贈与年の1月1日時点では20歳未満となるためこの特例を受けることができないということになります。

しかし、こんなに若くして家を取得するなんて、なんとも羨ましいです。(笑)

 

2 家屋について夫が取得し、土地を妻が取得した場合、妻は適用不可

 住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の新築や新築の建売住宅用家屋の取得又はこれらの住宅用家屋の新築や取得とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは土地の上に存する権利(以下この項及び次項において「土地等」という。)の取得のための対価に充てて、(一部略)

という条文構成です。あくまでも適用の基準は「家屋の取得」にあるということです。この点は所得税の住宅ローン控除でも同様です。但し、後半の部分で「家屋を新築、取得するけれど家屋の取得前提で先行して土地を取得する場合には適用できるということでいいですよ。」という内容です。(措置法通達70の3-2

このため注意したいのは、

① 土地は妻が自分の父や母から住宅取得資金贈与の非課税を適用しようとして金銭贈与を受けた。

② 家屋は夫が自分の父や母から住宅取得資金贈与の非課税を適用しようとして金銭贈与を受けた。

この場合、妻については家屋を取得していないため、このままでは住宅取得資金贈与の非課税の適用を受けることができないことになります。(夫は家屋を取得しているので適用可能です。)

もし、妻が土地を取得する場合には、家屋も少しでも持分取得をする必要があります。

3 居住要件は新築の場合と取得の場合で異なる

住宅用家屋の新築をした場合や建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をした場合で、贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までにこれらの住宅用家屋をもらった方の居住の用に供したとき、又は新築若しくは取得をしたこれらの住宅用家屋を同日後遅滞なく当該特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき・・・(一部略)

という感じの条文になっていて、これを見ると必ずしも贈与を受けた年の翌年3月15日までに住んでいないといけないという風には読めません。

 

ただし、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のあらましのポイント2(2)の(注)を見ると

 

「新築」には、贈与を受けた年の翌年3月 15 日において屋根(その骨組みを含みます。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものが含まれます。

 

「取得」の場合には、これらの状態にあるものが含まれませんので、贈与を受けた住宅取得等のための金銭を建売住宅又は分譲マンションの取得の対価に充てている場合でも、贈与を受けた年の翌年3月 15 日までにその引渡しを受けていなければ、新非課税制度の適用を受けることはできません。

 

とあり、実は「新築」と「取得」で明確な取り扱いの違いがあるのです。

したがって、

「建築」の場合には贈与年の翌年3月15日までに、屋根があり棟上げ程度までが出来上がっていれば、その時点で完成引渡しを受けていなくても、その後遅滞なく引渡しを受けて居住すれば適用を受けることができます。

 

一方で、建売住宅やマンションの「取得」の場合には贈与年の翌年3月15日までに完成引渡しを受けていないと適用を受けることができないのです。

さらに前述した家屋に先行して土地を取得する場合でも、贈与年の翌年3月15日までに、取得した土地の上に住宅用家屋を新築(上記同様、棟上げ以後のものを含む)していない場合には、当該贈与により取得した金銭については住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けることができないのです。

 

4 適用を受けるためには確定申告が必須

適用を受けるには贈与年の翌年3月15日までに贈与税の確定申告をする必要があります。贈与税の確定申告は意外と知られていないのですが、所得税の確定申告とは別の書式になります。

 

 

ここに記載したのは、ほんの1例です。

 

特例の適用受ける場合には、後々になって適用ができないと困らないように、税理士などにアドバイスを受けるなどして、こうした違いをしっかり把握し検証をした上で、実行することが大切なのです。

 


【編集後記】
昨日は大阪でセミナーを受講してきました。すごく勉強になりました。終了後は鶴橋で焼肉を食べてきました。

 

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