贈与とはどういうことかを知る 名義預金とされないようにすべきこと

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相続税の増税により、これまで以上に贈与が注目されています。

今日はその贈与についていろいろ見ていきたいと思います。

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今日は大阪でセミナー参加。

目次

贈与とは

民法にこのように規定されています。

第549条 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

つまり、贈与した人は「あげました。」という意思表示、貰った人は「もらいました。」という意思表示をして初めて成立するということになります。

そしてこの行為をした時に暦年課税で言うと、110万円を超えると贈与税の申告、納付が必要となります。

贈与税(暦年課税)の概要

贈与税の課税方法は、原則的な方法である「暦年課税」と、自ら届出書を提出して適用を受ける「相続時精算課税」があります。

 

今日は「暦年課税」をベースに考えてみたいと思います。まずはざっくりとお話します。

課税原因

個人から財産をもらったときにかかる税金

(ただし、会社などから贈与を受けた場合には、贈与税でなく、所得税がかかります。)

民法上の贈与行為でないものにも課税される

財産をもらった場合のほか、例えばこんな場合にも贈与税はかかります。

1 第三者が負担した保険料で保険金などを受け取った場合(被相続人が保険料負担していた場合は相続税課税)

2 親に借金を肩代わりしてもらった場合

3 同族会社が増資や債務免除を受けて、他の株主の所有している株価が上がった場合

4 実際の時価よりも、著しく低い価額で財産の贈与を受けた場合

これらは、民法上の贈与ではないですが、課税をしないと課税の公平が保てないため、相続税法で独自に課税をすることになっています。

対象期間

その年の1月1日~12月31日までに贈与をうけた財産

基礎控除額

 年ごとに110万円(暦年課税の場合)

申告

贈与を受けた年の翌年の2月1日~3月15日までの間にもらった方が申告、納税。

あげた方は申告の必要はありません。

納付方法

原則は金銭で一時に納付。延納(分割)制度もあるが金利は高い

 

名義預金とは

実務上、よく問題になることに、これは「贈与」なのか?「名義預金」なのか?といったものがあります。「名義預金」とは、名義は例えば子や孫になっているが、実際の財産の帰属は祖父にあるとされるような預金です。

例えば、

① 祖父が孫名義で通帳をつくり、贈与の証拠を残すために振り込みでこの通帳に入金

② 贈与税の申告書も孫名義で税務署に提出し、贈与税も納付する。

 

一見、贈与しているように見えますが、税務調査などで実態を見ていくと孫が預金の存在を知らない、または印鑑や通帳は実は孫でなく、祖父が持っているなんていうことがあります。

こうなると最初の「贈与とは」でお話しした『あげました。』、『もらいました。』というお互いの意思表示がないとされ、税務調査で「これは贈与が成立していないから名義預金ですね。」と指摘されてしまうのです。

 

贈与税の申告さえしていれば、贈与が成立するというわけではないのです。実際に申告、をしていても贈与は認められないとされた判例もあります。

贈与があったかどうかの判定は、この申告をしているかも含め、事実関係から総合的に判断されます。

名義預金とされてしまうと「贈与」はなかったということとされ、相続財産として相続税が課税されることになります。さらに遺産分割協議の対象にもなります。

相続税対策として贈与をしてきても、やり方を間違えると全く効果がなかったということになってしまい、本末転倒です。

 

名義預金とされないためにはどうしたらいいの?

名義預金とされないためには、次のようなことをすることが大切です。

① 贈与の都度、贈与契約書を作成する。契約書には公証人役場で確定日付をもらう

② 履歴が残るように通帳間で振込みをする

③ もらった方がその財産を自由に使える状態にする。

 

特に①についてはあげた人ともらった人のそれぞれが自署、押印をする事が大切です。

何故なら自署をする事で、そこに双方の意思が入るからです。

自署である以上、これが贈与でないと税務署が立証することは困難です。

 

贈与は書面による贈与と口頭による贈与があり、口頭による贈与も民法上は認められるのですが、実際に相続税の税務調査の場面では、すでにあげた方である被相続人はいないのです。口頭で贈与契約をしたと言っても税務署も簡単に納得はしないでしょう。

そのため手間にはなりますが、贈与契約をしたという証拠として「贈与契約書」を自署押印で残しておくことが有効です。

 

贈与をしたのであれば、将来発生するであろうリスクに備えて、上記のことを整えておくことが大切なのです。

最後に相続・贈与に関してオススメの書籍をご紹介しておきます。

 

 

【編集後記】
昨日は相続税の申告依頼を受けたお客様の預金手続きで銀行回りを4行行きました。書類の記載ルールなどが各行でバラバラで非常に苦労します。何とか統一して頂きたいです。

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