節税か?お金か? Excelマクロを使った法人税のシミュレーション

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節税したいというのは、多くの人が考えることです。

ただ、お金が出ていく節税の場合、お金とのバランスも考える必要があります。

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節税したいのはやまやまだけどお金も必要

会社は利益に対してかかる税金、法人税は決算が終わってから2ヶ月後に支払います。

8月決算なら10月末に、9月決算なら11月末に支払うという流れです。

ただ、税金を払うといってもお金が必要ですから、資金繰りも考えないといけませんし、出来るだけ会社にお金が残るようにしたいはずです。

だから税金を減らそうとするわけです。

 

ところが、利益がたくさん出たからといって、経費をじゃんじゃん使えば、確かに税金は少なくなるのですが、それ以上にお金が減ってしまいます。

これは論外。やるべきではないでしょう。

 

ただ、節税をするかどうかは決算前に一度は検討しておくべきです。

税金を払わないとお金がたまらないようになっているものの、税金をいくら払うか?というのは考えておくべきだからです。

 

その「いくら払うか?」のところで節税の話が出てきます。

まずはお金の支払いが必要ない節税、これは必ずやるべきです。

ただ、節税といえば、お金の支出を伴うものがほとんどです。

 

なので、「利益」と「お金」のバランスをみて検討したいところです。

それだけに事前に利益を予測し、どのくらい税金が出そうなのか?、節税をするかどうか、の検討は欠かせません。

さらに事前に予測することで、余裕をもって資金繰りを考えることができるのもメリットです。

Excelで税額を計算してみる

Excelでも税金の計算をするようにしています。

というのも、税務ソフトに頼りきってしまうと、税金がどうやって計算されているかの流れをそれほど見なくなります。

Excelで1つずつ式を入れながら確認することで、理解が深まります。

合わなければ、どうして違うのかを考えます。

 

また、税務ソフトであれば、もともと機能はガチガチで、決められたことを計算するのには優れていますが、シミュレーションやグラフ表示などの応用性はありません。

そのためできることが限定的です。

 

一方でExcelなら自分の好きな形式で、やりたいことを自由に設計できます。

また関数もいろいろ使うのでExcelの勉強にもなります。

例えば、法人税の計算であれば、次のような計算ができます。

 

=ROUNDDOWN(C19-C20,-3) 

で、セルC19からC20を引いた値を千円未満切り捨てしますし、

=MAX(0,ROUNDDOWN(C19-C20,-3)) 

で、千円未満切り捨てした値とゼロとのどちらか大きい値を表示されることになります。

つまりマイナスになる場合にはゼロで表示されるということです。

さらに、

 

C22==MIN(C21,8000000)*I3+MAX(C21-8000000,0)*I4

で800万円までは15%、800万円を超えた部分は23.4%で計算するという算式になります。

地方税の場合、法人事業税については3段階の計算なので、ちょっとややこしくなってしまいますが、同じような関数で計算することができます。

Excelの当期利益と中間で支払った税額を入力すると、いくら税金を払えばいいかを計算してくれます。

税務ソフトとチェックしてみて、合わなければどこかがおかしいということです。

Excelマクロを使ってシミュレーション

利益がいくらだと税金がいくらになるかを計算してみました。

ちなみに名古屋市の場合で計算すると、こういった感じです。

補足
名古屋市の場合で、別表調整が一切ないという前提で計算しています。(2018年10月23日時点)地方税率は市町村によって異なります。

 

「利益が0の場合は68,500円で、50万円の場合は…」と毎回計算して、Excelにペチペチと入力していては時間も手間もかかります。

そこでマクロを使って表示するようにしました。

いくら学んでも使わないと効率化につながりません。現場で使えてこそ効率化です。

マクロの設定はこちらの記事で確認を。

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こんな感じで、利益の金額別に税金がいくらになるかを表示するようにします。

そこで、マクロで次のような記述をしました。

利益ゼロからスタートし、50万円刻みで表示しています。

 

もし、利益を100万円ごとで表示したければ、


‘次の計算の準備
rieki = rieki + 500000

のところを


‘次の計算の準備
rieki = rieki + 1000000

にすればいいです。

この計算の結果、着地見込みの利益が400万円だとした場合、法人税として払う税金は964,000円

 

例えば、節税するために倒産防止共済を240万円年払いしたとすると、利益(所得)は400万円ー240万円=160万円。

160万円に一番近い150万円のときに支払う税金は404,300円。

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結果、ざっくりで、964,000円ー404,300円=559,700円の節税ができることになります。

ただ、その代わりに240万円のお金が出ていくことになります

 

利益がどれだけ出ていたとしても、お金がなくなると事業ができなくなってしまいます。

それだけのお金がいったん出て行っても資金繰りに問題ないのかどうか。

 

そんなわけで節税するにしても「どこまでの節税をして、どこまで手元のお金を残すか?」というのは、考えておくべきでしょう。

あと、このグラフですが、データバーをというのを使っています。

税額のセルを範囲指定して、[条件付き書式]→[データーバー]で好きな色を選びます。

いろいろ書きましたが、参考にしていただければ。


【編集後記】
昨日は相続の仕事をしたあと、セミナー資料の作成をした後、夕方には歯医者へ。一応虫歯もなく異常なしでした。定期的に行くようになってから虫歯とはすっかり縁遠くなりました。もう若かりし頃のような夜中に歯が痛くて眠れないという経験はしたくないので。

【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
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相続税申告・ひとりしごとをサポートします 植村豪税理士事務所

相続や贈与のことでお悩みの方、「決算書の数字が読めない」、「資金繰りを改善したい」、「クラウド会計を使ってみたい」というひとり社長やフリーランスの方のサポートに力を入れています。

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